早稲田日本語教育実践研究 第13号
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早稲田日本語教育実践研究 第13号 2024年度の「わせだ日本語サポート」の学習アドバイジングセッションは,2022年度秋学期から開始した対面セッションとオンラインセッション(Zoom)のハイブリッド型で行われた。来訪者数は,2024年度計382名であった。春学期の来訪者数は256名,秋学期の来訪者数は126名であった。また,日本語教育研究センター(Center for Japanese 語サポート」における対面セッションの来訪者数は377名,オンラインセッションの来訪者数は5名であった。一方,イベント参加者は284名となった。セッションの形態の点では,オンラインセッションの需要が減少していると言える。昨年度は,海外や遠隔キャンパスにいる学生や,対面セッションでの緊張感を回避したい学生がオンラインセッションを利用していたが,今年度は,授業の合間に対面セッションに来訪する学習者が大半であった。但し,2024年度の傾向が常態的なものかどうかは不明であるため,2025年度も,学生のニーズに合わせて2種の形態で実施する予定である。対面セッションの増加に伴い,2024年度のイベントは全て対面形式で開催した。日本語能力試験(JLPT)について学習の仕方や教材についてアドバイスを行う「JLPTセミナー」,スタッフ主催の会話セッションである「日本語で話そう!」,キャリアセンターとの共催で開催する「留学生のためのキャリアセミナー」等である。「JLPTセミナー」はセミナー」はキャリア支援を目的としており,学習者は自身の需要と目的に応じて各イベントに参加していた。今後,セッションの形態も含め,どのようなイベントを企画するか,学生の需要とスタッフの負担を考慮しつつ引き続き検討したい。また,2024年度に見られた傾向として,主に3点が挙げられる。1点目は,生成AIによる自律学習が進んだことである。生成AIの利用によって効率的,自律的な問題解決が可能になり,簡単な文法事項等に関する相談件数が減少した。2点目は,前年度に続き,日本語学習者の増加と多様化に伴い,日本語未習者や日本語学習を円滑に進められない来訪者への支援が重要課題になっていることである。CJLは学習者が自律的に科目選択を行うシステムであるため,自身のレベル以上の科目を選択する学習者や,複数レベルの総合日本語科目を受講する学習者の中には,自力で学習できず「わせだ日本語サポート」に来訪する学習者も多い。日本語学習に対する不安感が学習者の心理的ストレスを高める場合もあることから,学習者の心理面にも配慮しつつ学習支援を強化していきたいと考える。3点目は,多様な学習者が増加したことにより,Moodle等のLMS(Learning Management 1.2024年度 総括Language,以下「CJL」)が提供するテーマ科目の完全対面化の影響を受け,「わせだ日本JLPTの受験対策,「日本語で話そう!」は会話練習の場の提供,「留学生のためのキャリアSystem)やオンライン学習に慣れていない学習者が散見されたことである。継続課題では年度報告85寅丸 真澄・吉田 好美・井上 直美「わせだ日本語サポート」活動報告

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