早稲田日本語教育実践研究 第13号
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2.2023年度までの活動実績76早稲田日本語教育実践研究 第13号/2025/75―78よる自律学習との相補的な学習効果が実現できると考えられる。本研究プロジェクトの土台となる総合科目群のオンライン化プロジェクトは,2020年度秋学期に構想され,対象科目を決定した。対象科目は「総合日本語1□6」「入門日本語」「会話1・2」「漢字1□5」の全14科目である。「総合日本語1□6」と「入門日本語」は対面授業からハイブリッド型授業,「会話1・2」と「漢字1□5」は対面授業からオンラインリアルタイム配信授業への転換となる。2021年度は,各科目で使用する教材を選定した。また,「総合日本語1□4」においては,総合科目の授業内容の一部である文型学習をオンデマンド化することを決定し,文型学習用動画教材(「総合日本語1・2」は英語,「総合日本語3・4」は日本語で作成)の開発を開始した。文型学習用動画教材とは,これまで教員によって行われていた文型の導入と説明を動画化した教材である。学習者は本動画を視聴し,Moodleに設置されたワークシートやクイズ類を活用することによって文型理解を深め,動画で学習した文型の運用練習と各種活動を行うことが期待される。一方,「入門日本語」は,週当たり時限数や教材の選定も含め,具体的なコース内容の検討を開始した。また,「会話1・2」は,2021年度までにオリジナル教材を完成させた。「漢字」は,2020年度より徐々にオンライン化を進め,「漢字3」の教材を完成させた。2022年度には,CJL研究プロジェクトとして正式に承認され,文型学習用動画教材及び授業教材(ワークシート,課題,クイズ類)の開発を進めた。「総合日本語1□4」の文型学習用動画教材については,2021年度に作成した文型スライドの修正作業と,説明用音声のスクリプトの作成,音声収録,動画編集とその修正を行い,2022年度末に完成した。その後,それらの動画教材及び授業教材を本学LMSのMoodleに設置した。「総合日本語5・6」では,レポート作成のための説明用動画の試用版を作成し,内容の調整を行った。「入門日本語」では,コース内容に即した教材作成,英語によるオリエンテーション動画,仮名の説明用動画を完成させた。「会話1・2」は,2023年度の音声収録のための準備を行った。「漢字」は「漢字1□3」に続き,「漢字4」の授業教材が完成した。2023年度は,「総合1□4」をはじめとする全科目においてオンライン授業に必要な動画教材と授業教材を設置し,運用を開始した。特に「総合日本語1□4」では,オンデマンド授業と対面授業とのハイブリッド型で運用を開始し,春学期終了後に運用状況及び学習者の学習状況について,担当者全員で振り返りを実施した。振り返りの結果,対面授業とオンデマンド授業の連携,及びレベル間のアーティキュレーションが課題とされたため,秋学期の授業に向けて文型学習用動画教材と授業教材の調整と修正を行った。また,対面授業とオンデマンド授業の教員の連携を図るなど,ハイブリッド型授業の円滑な運用に向けての対策を試みた。「総合日本語5・6」では,2022年度に準備したレポート作成のための説明用動画教材の試用版を作成し,試用を行った。「入門日本語」では,試作した教材を運用し,調整と修正を行った。「会話1・2」では,各課のモデル会話の音声収録とイラストの修正を行った。「漢字」では,「漢字1□4」の実績を踏まえ,「漢字5」の教材を完成させた。

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