早稲田日本語教育実践研究 第13号/2025/69―74 70図2 イベントの広報文向上」「友人作り」「話題の共有」が並列的に記載されており,ふりがなや英語表記が加えられている点が特徴になっている。図1 イベントの広報ポスター運営方針においては,「気軽に参加できる」ことが重要なキーワードとなる。この方針を実現するため,人的および物的リソースの活用が奨励される。具体的に言うと,人的には参加者同士の相互協力,ジェスチャー,物的には携帯端末,ホワイトボード,写真や絵といったリソースを積極的に活用することで,言語的な困難を補完する仕組みが構築される。このような工夫は,イベントにおいて「日本語だけを使用する」というルールが設定されている中で,理解や表現が難しい場合にも,参加者が安心して会話が楽しめる環境を提供するためである。ファシリテーターは,必要に応じて参加者にWEBサイトでの単語検索や他の参加者への質問を促し,知識の共有を支援する。このように,参加者が困難な状況に直面しても安心して参加できる環境が整備されていた。活動内容については,一度限りの参加でも満足感が得られるよう工夫される。事前に雑談トピックを準備する場合もあれば,コミュニケーションを必要とするゲームを取り入れることもある。例えば,次章で詳述するが,グループで協力しながら指示を受けながら絵を完成させ,それを他のグループが推測するゲームなどが行われた。このように,本イベントは,活動を通じて,参加者が楽しく協力し合いながら交流を深めることができるよう配慮されていた。
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