1.イベントの背景と目的2.イベントの運営Facebook・Instagramアカウントを通じて広報した。イベントのポスター(図1)およびWasedaメール・Facebook・Instagramの広報文(図2)は,本イベントが「気軽におしゃ早稲田日本語教育実践研究 第13号本イベントは,早稲田大学日本語教育研究センター(以下,CJL)において,2023年度春学期から2024年度春学期の間,定期的に開催された留学生のための日本語会話イベントである。本イベントの開催背景には,日本語学習者の具体的なニーズが存在する。CJLが開設する日本語学習支援機関「わせだ日本語サポート(以下,「わせサポ」)」には,多くの学習者が訪れているが,それらの学習者からは日本語で会話する機会の少なさを訴える声がしばしば聞かれる。「CJLで多くの授業を受講して日本語を学んだものの,実生活で使用するのはコンビニでの買い物時の一言程度に留まっている」「友人関係を広げたいが,他者と出会う機会が少ない」といった声が代表例である。これらの声から明らかなように,多くの学習者が日本語を使って自らを表現する場や,日本語を媒介とした他者とのつながりを求めている。しかし,これらのニーズは教室での学習のみでは十分に満たされていない。こうした背景を受け,学習者の多様なニーズに応えるべく,「わせサポ」ではスタッフ主催のイベント「日本語で話そう」を企画・実施した。本イベントの目的は,参加者が安心して日本語で他者と交流できる場を提供することである。そのため,イベントの運営においては気軽に参加しやすい環境づくりを重視している。このような方針に基づき,本イベントは,日本語能力やコミュニケーション能力の向上を目指す学習者だけでなく,友人関係の構築を望む学習者にとっても有益な場となることを目指した。本イベントは2023年春学期に初めて実施され,同年秋学期から2024年春学期の間に定例イベントとして隔週木曜日の17時〜18時に開催されていた。会場は早稲田大学22号館3階にあるオープンスペース「WILL」である。参加に予約は不要であり,早稲田大学に在籍する日本語学習者であれば誰でも自由に参加可能である。リピーターの参加はもちろん,一度限りの参加も歓迎しており,所属,背景,国籍,年齢,日本語学習の目的を問わず,日本語学習者全般を受け入れる。本イベントは,WasedaメールとCJLのべり」する機会を提供することを目的としたものであることを示している。「会話能力の69李 思儀コラムわせだ日本語サポートイベント「日本語で話そう」報告
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