早稲田日本語教育実践研究 第13号
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早稲田日本語教育実践研究 第13号   科目名:総合日本語5  レベル:初級1・2/中級3・4・5 /上級6・7・8  履修者数:16名総合日本語5は中級後半の学習者を対象とし,社会的な話題や自らの専門分野に関わる話題について「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能を伸ばしていくことを目標に掲げている。授業は週3コマ(対面2コマ:1コマ100分・オンデマンド1コマ:時間設定無し)を14週かけて2名の教師が担当する。オンデマンド1コマでは『生きた素材で学ぶ 新・中級から上級への日本語』(以下,教科書)「重要表現解説」の文法項目をオンデマンド動画やコンテンツ「れんしゅう」・文法テスト等を通して学ぶとともに,教師が用意した文章について要約文・報告文を作成し,フィードバックを受ける。また,対面2コマでは教科書の内容について読解やディスカッション,語句・記述テスト等を通して理解を深めるとともに,学生がテーマを自由に設定し,自分の考えを発表する期末発表を実施する。コースのスケジュールや指導内容はコーディネーターによって決められているが,授業はクラスの状況に合わせて担当教員が適宜,調整しながら進めていく。本稿では,筆者が対面授業最終日のために考案し実施した,本コースで身につけた「書く」「話す」という技能を総括的に運用しながら学期を振り返る活動について報告する。コースの最終回の授業では,通常,授業や学期中の出来事についてクラスメイトの前で感想を話す等の振り返りの活動を行っている。この活動をコースの「書く」「話す」の到達目標「自分の考えをわかりやすくまとめた上で説明するレポートが書ける/発表することができる」を意識した以下のような活動にした。活動の手順は,1)「学期が始まったときの“わたし”」を表す漢字1字,「学期が終わった今の“わたし”」を表す漢字1字を決める,2)A4判・色画用紙(横向き)を二つ折りにし,左側に「学期が始まったときの“わたし”」を表す漢字1字,右側に「学期が終わった今の“わたし”」を表す漢字1字を太字マーカーで大きく書く,3)「今学期の“わたし”ふりかえりシート」(以下,「シート」とする。漢字と説明を記載する為の筆者が自作した用紙)の「学期が始まったときの“わたし”」欄に決めた漢字を記入し,漢字を選んだ根拠となるようなその頃の気持ち,日本語学習の状況,出来事等について3〜4文程度の説明を書く,4)シートの「学期が終―中上級クラス最終日「書く」「話す」を総括する実践―1.授業概要2.活動の内容実践紹介57萩原 喜美子「今学期の“わたし”」を振り返る活動

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