早稲田日本語教育実践研究 第13号
59/106

早稲田日本語教育実践研究 第13号   科目名:総合日本語4  レベル:初級1・2/中級3・4・5/上級6・7・8  履修者数:22名(2024年度春学期)「総合日本語4」は中級後半レベルの日本語コースであり,教科書『まるごと 日本のことばと文化 中級2 B1』を使用している。コースの目標は,身近な話題や一般的な話題を扱える4技能(読む,書く,聞く,話す)の能力を養うこと,および,アカデミック分野における日本語使用の基礎を築くことである。授業は週5コマ構成であり,対面授業が3コマ,オンデマンド授業が2コマである。スケジュールやオンデマンド課題等はコーディネーターが作成し,1クラス3人の授業担当者が授業を行う。オンデマンド授業2コマのうち,オンデマンド1は文型動画の視聴と課題シートが主な課題で,月曜日の対面授業担当者が担当している。一方,オンデマンド2は,課題の提示とフィードバックがすべてオンラインで行われる。主な内容は,読解問題やアカデミックな文型の学習,意見文を中心とした文章表現活動である。コロナ禍の影響でオンデマンド形式を含むオンライン授業が普及し,この4年間に授業形態・学習者の理解度・学習者と教員への心理的影響など多方面から知見が蓄積されてきた。除村ら(2022)は,オンライン授業実施の懸念事項として,学生同士・学生と教師の交流が希薄になることと自律性の有無によって学習効果の二極化が起きていることを指摘している。上村(2021)では,授業内容をオンデマンド化する過程で,学習者のモチベーション維持やフィードバックの迅速な提供が困難になった点が指摘されている。オンデマンド2のような,完全オンライン課題形式では,学習者と直接接し,指導する機会がないため,これらの課題がより顕著になりやすい。このような環境では,学習者への働きかけや双方向の交流が期待できる手段が限られており,フィードバックの役割がより重要である。本実践報告では,筆者らが担当したクラスのオンライン環境におけるフィードバックと学習者のモチベーション向上に向けた工夫を報告する。―学習者のモチベーション向上のために―1.「総合日本語4」のオンデマンド授業の概要2.オンデマンド授業の特徴と課題55実践紹介水田 佳歩・三好 裕子・鄭 潤静オンデマンド授業におけるフィードバックの工夫

元のページ  ../index.html#59

このブックを見る