早稲田日本語教育実践研究 第13号
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早稲田日本語教育実践研究 第13号/2025/41―42 42⑤ 自分以外の役を演じ,立場や性格の違いによるスピーチレベルや表現方法の違いを実感① ストーリーのあらすじを考える。連続するストーリーで1場面が3分程度の3,4場面③ 登場人物の立場,性別,キャラクターや場面ごとにどのような気持ちを表現したいかな④ あらすじに沿って場面のイメージを膨らませ,具体的な会話を考える。話している相手⑥ グループごとに練習し,発表会を行う。感想を話し合う。3.学生の反応と今後の課題し理解できる。2-2.実践の方法ドラマ作成方法は以下のようにし,あらすじ用とスクリプト用に専用シートを用いた。を考え,全体が10分程度になるようにする。その際,授業で練習した場面を援用すると考え易いことは伝えるが,学生の自主性を尊重し,場面や表現を強制することは避ける。②グループの人数分(またはそれ以上)の登場人物を考える。どを決め,それに適した言葉遣いや話し方を考える。や場の改まり,気持ちに注意してスピーチレベルや表現を選ぶ。特にあいづちや呼びかけの言葉,間の取り方,話す速さや声のトーン,表情やアイコンタクト,お辞儀などのジェスチャーもスクリプトの中に記入しておく。⑤ユーモアのある会話やユニークなエンディングなど,楽しめるストーリーを考える。教師は文法的な最低限のチェック以外は,ファシリテーターの役割を果たしている。スクリプト段階では登場人物のキャラクターがあまり明確ではないように感じても,発表では声のトーンや話すスピード,表情などでその人物像の自然な表現を工夫し個性的に表現していることに毎回驚かされる。この活動を通じて会話は表現だけでなく話し方や非言語行動が重要であることを再確認したり,相手に自分から話しかけることに自信を得たりする学生も多く,アンケートでは「会話に自信を持ち,日本人の友だちを作ることができた」などの回答もあった。しかし,グループメンバーの負担にアンバランスな状態が見受けられること,発表後のフィードバックの方法などが今後の課題である。参考文献小池真理・中川道子・宮崎聡子・平塚真理(2007)『改訂版 聞く・考える・話す 留学生のための初級にほんご会話』スリーエーネットワーク.(うつのみや ようこ,早稲田大学日本語教育研究センター)

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