早稲田日本語教育実践研究 第13号 科目名:談話場面から学ぶコミュニケーション1-2 レベル:初級 1・2 /中級3・4・5/上級6・7・8 履修者数:31名本授業は,談話場面別のコミュニケーションや表現の違いについて,会話練習や意見交換を通し,学習者が日本語の多様性に気づき学びに繋げることを目的とする。初級の指導では,文型表現の導入・練習を目的とした会話練習が多くみられるが,本授業では学習者自身が日本語のバリエーションに触れ,状況にあった日本語を適切に使えるようになることを目指す。本稿では,2024年度春学期の全14週の授業のうち,前半週に実施した談話コミュニケーションの指導に焦点を当て紹介する。本授業では,授業の前半週に場面別の談話コミュニケーション指導を,後半週に実践場面としてプロジェクト活動(教室外で日本人の学生にインタビューを行い,その結果を発表するもの)を実施した。中井(2023)は,会話の授業で行う活動を「計画性」「即興性」「練習」「実際使用」の4観点から分類しており,本授業の前半週の談話指導は「計画性」を含む「練習」活動,後半週のインタビュー活動は「即興性」を含む「実際使用」活動に位置付けられる。図1に示すように,前半週の場面別の談話指導では,学生同士のディスカッションや会話練習を通し,談話コミュニケーションの違いについて学んだ。第2回 「はじめて会う人と話す」:初対面会話での自己紹介や情報交換について考える。第3回 「知っている人と話す」:共有知識のある友人同士の会話について考える。第4回 「電話やオンラインで話す」:電話やオンラインの会話の特徴を考える。第5回 「スピーチの表現」:出身地域の観光について,グループ内で紹介する。第6回 「インタビューの表現」:(教室内で)アンケート調査を行い,質問の仕方や数値の表現を学ぶ。第7回 「ディスカッションの表現」:文化や環境に関するテーマをもとにディスカッションの表現を学ぶ。2-1.話者関係や状況の違いからみるコミュニケーション学習者は,初級段階のうちに場面や対人関係による談話の違いに触れることで,教室外―初級日本語談話コミュニケーションの指導から―1.授業概要2.授業の流れ実践紹介39図1 第2回から第7回までの授業内容吉田 睦場面や状況から考える話し方
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