早稲田日本語教育実践研究 第13号
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注早稲田日本語教育実践研究 第13号/2025/37―38 38図1 わたしのことば自分にとって役に立つ言葉を列挙する宿題「わたしのことば」も動画やPadletと組み合わせると,言葉の定着を図るには効果的であった(図1)。学生がPadletに列挙した「わたしのことば」をクラスで発表する活動では,学期の前半は言葉を読むだけであったが,学期の後半になると,自分やクラスメートが選んだ言葉を使い,自発的に作文し,発表するようになった。これは大きな前進である。例えば,「わたしは,江ノ島に行きました。海鮮丼を食べました」,「わたしは,江ノ島へともだちをさそいました」,「海鮮丼は食べられますか」などである。このような日常的に使う文章を作れるようになると,日本語の会話が楽しくなり,ブレイクアウトルーム(以下,BOR)の発話も多くなった。二つ目のDrawboard PDFも授業で口頭表現を増やすために導入した。会話を広げ,続けるスキルを身に付けるためには,「話しかける→質問する→相槌→答える」といったやりとりを学生が繰り返し練習できるようにする必要がある。そこで,テキストのpdfを込めるのが特徴である。テキストのダイアローグを毎回Drawboard PDFに貼り付け,学生の順番を書きながら授業ができたことは,教員にとって利便性が高く,学生との視覚的な意思の疎通に役立った。また,BORに分かれる前の全体練習では,ダイアローグを二人に読ませるのではなく,ターンごとに違う学生を割り当て,全員が参加できるようにした。結果的に,自分の順番がすぐに来るので,学生はより集中して授業を受けるようになった。毎回の授業で,動画視聴を促し,アプリを導入して学生の発話回数を増やした。結果的に,学生の語彙が増えコミュニケーションを積極的にとり,自信をもって話せるようになった。コロナ禍での会話の授業は不安が多かったが,インストラクターがアプリを工夫して使うことで,学生は口頭表現力を身に付けた。今後もCJLの会話の授業はオンラインが続くが,さらに効果的にアプリを使い,口頭表現力が身に付く会話の授業を続けたい。 1)https://padlet.com/site/product/education, https://www.drawboard.com/pdf/pdf 2)https://www.nhk.or.jp/lesson/ja/参考文献豊田晶子(2024)「動画視聴を取り入れた文型・文法の定着―iGen世代の学生の教授法―」『早稲田日本語教育実践研究』12,39-40.(とよだ あきこ,早稲田大学日本語教育研究センター)Drawboard PDFで使えるようにした。このアプリは,手書きの感覚でリアルタイムで書き4.アプリを使った実践の重要性

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