早稲田日本語教育実践研究 第13号 科目名:会話で学ぶ日本語発音1 レベル:初級 1・2/中級3・4・5/上級6・7・8 履修者数:35名本科目は,初級前半レベルの学習者が体系的に音韻知識を学び,初級で学ぶ表現を使って発音練習する科目である。一般に,初級レベルの口頭表現では「話す」活動が中心となるが,発音に焦点があてられることは少ない。しかしながら,発音上の問題は中級・上級レベルになっても残るケースがあることから,初級学習者にも発音を学ぶ機会を提供することは必要であると考えられる。本科目では,様々な活動を通して,学習者に発音の意識化を促し,発音上の問題の有無に気づかせることによって,聞き手に伝わりやすい発音の習得を目指している。2-1.授業概要本科目の到達目標は次の4つである。①音韻知識を学び,日本語の発音を体系的に理解する。②自分の発音を振り返りながら,聞き手に伝わりやすい発音を習得する。③相手の発話を聞き取りやすくする。④会話のスキルアップを図る。各授業で取り上げている音韻知識を表1に示す。音韻知識の導入では,初級学習者でも理解ができるよう説明を簡略化し,ポイントを絞って解説している。音韻知識の定着を図るために,毎回,復習クイズも行っている。なお,市販の教材は使用せず,自作教材で音韻知識の導入および発音練習を行っている。授業では,似ている発音の聞き分け練習も多く取り入れており,授業後に提出することになっている録音課題では,教師が一人一人①日本語の音⑤リズム(全2回)⑥動詞のアクセント⑦複合名詞のアクセント⑧名詞のアクセント⑨オノマトペ―会話を通して発音を学ぶ授業―1.はじめに2.授業の概要および特徴FBを行っている。35表1 授業で導入している音韻知識②母音⑩イントネーション (全2回)大久保 雅子③子音実践紹介④特殊拍初級日本語学習者を対象とした発音指導
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