注早稲田日本語教育実践研究 第13号/2025/27―34 5.まとめと今後の課題34が,問題の主旨からは外れた設問であったことが誤答の原因だったと言えるであろう。語の使用に関し注目すべき点への気づきを促す教材として「言葉の練習問題」を作成し,グループで解答のための話し合いをさせた。話し合いをしても解答に至らなかった問題について,解答のための話し合いを分析した結果,誤りの原因として,複数の点への目配りが難しく,一つの点のみに注目し,その点だけで判断する傾向があることが分かった。また,どちらのクラスでも正解できなかった問題については,問題の主旨に外れていたことが原因であり,問題の作成において留意すべきことが分かった。今後は,注目すべき点への気づきを促すだけでなく,実際に文を作る際にそれらの点に注意を払うことができるよう,その定着と習慣化を図る教材の開発を目指したい。 1)語の使い方の正誤判断問題の他に,共起する語の問題や漢字の使い分けの問題を入れた。 2)筆者が授業を担当した2022年1月〜5月のクラスである。 3) 日本語作文支援システム「なつめ」https://hinoki-project.org/natsume/(2024年9月24日閲覧)問題による指導の開始前に利用方法を指導した(注4)も同様)。 4)NINJAL-LWP for TWC https://tsukubawebcorpus.jp/(2024年9月24日閲覧)参考文献石澤徹・岩下真澄・伊志嶺安博・桜木ともみ・松下達彦(2018)『語彙ドン! ―大学で学ぶためのことば―vol. 1』くろしお出版.三好裕子(2022)「語を使えるように学ぶための教材の作成―語の使い方という視点での文法指導を視野に入れた語彙の練習問題―」『タイ日研究ネットワークThailand 研究論集』3,39-54. Dörnyei, Z. (1997) Psychological processes in cooperative language learning: Group dynamics and motivation. The modern language journal, 81(4), 482-493.Slavin, R. E. (1996) Research on cooperative learning and achievement: What we know, what we need to know. Contemporary educational psychology, 21, 43-69.(みよし ゆうこ,早稲田大学日本語教育研究センター)
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