早稲田日本語教育実践研究 第13号
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755早稲田日本語教育実践研究 第13号/2025/19―266.連語への気づきを促す指導の結果62学習方法 1124グループ 13連語集 13会話 11その他 3424表3 「私の連語集」の教材読み方母語訳用 例 文 と 出 典聞いたことがない事柄に出会っても,ネットでちょっと検索すれば,瞬時にして大体のことはわかってしまいます。姜尚中『悩む力』中学校のとき日本のアニメにハマって日本の文化に興味をもつようになりました。シュウユファン https://www.facebook.com/cjl.waseda ***表4 有意義な点のキーワード連語 語彙増 使い方 大学院生 教師 番号連 語1ネットで検索するネットでけんさくする***2アニメにはまるアニメにはまるは3つ,オンライン授業では2つ)について,発表資料を作成し,連語の意味,用例文と出典,連語を選んだ理由を各自が対面授業では3分,オンライン授業では4 分でそれぞれ発表した。オンライン授業では,質疑などの時間も4分設けた。連語への気づきを促す指導の結果については,全学で学期末に実施される「学生授業アンケート」の自由記述の回答を中心に,宿題や連語集など提出物の様子も交えて述べる。「学生授業アンケート」の自由記述式問題は,授業で最も有意義な点とわかりにくかった点とを問う最後の2問である。指導の効果を探るため前者を分析対象とした。分析対象の内訳は,前者の有効回答157件(19学期)と臨時問題(後述)の有効回答20件である。表4は前者の157件の回答に筆者がキーワードを付してまとめたものである(重複あり)。なお,以下の回答例の末尾には,年度と学期の略および回答番号を英数字で示す。連語62が最多なことから,本指導によって連語への気づきが促されたといえる。回答には,「連語に注目するようになりました。12S01」「連語のコンセプトを理解できて,今後も意識して使いたいと思います。20S19」など,連語に気づき有用性を認めたことが窺われる。「言葉に関する新しい考え方を手に入れることが大変ありがたい。2023S03」には連語という語はないが,おそらく回答者のそれまでの語彙学習は単語中心に偏っていて,連語という捉え方が新鮮だったのだろう。語彙増24に分類された回答の多くは,「使えることばが増えました。19S06」「「連語」を勉強することで,日本語を話すときに話せる言葉が自然に増えたからです。23F06」など,使用語の増加を述べている。そこで,さらに詳しく知るために,2020年度春学期のアンケートでは臨時的に自由記述問題に,この授業によって使える日本語が増えたかを問う担当教員作成問題を加えた。結果は有効回答20件のうち19件が使える日本語が増えたという回答だった。回答には,「はい,連語を理解し,覚えて,うまく使える日本語が増えたと思います。20S09」「絶対に増えました。新しい単語は詳しく多く習ってくれましたが,もう知った単語は新しい意味や使い方を習いました。大変勉強になりました。

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