12早稲田日本語教育実践研究 第13号/2025/11―18図1 総合日本語科目との対照表Moodle)を活用し,オンライン上で小テスト・定期試験・課題提出を実施することになっ省 2010),「書き」よりも漢字の認識能力が重要と考えられる。そのため,漢字科目でも,LOOK AND LEARN』,『INTERMEDIATE KANJI BOOK Vol. 1』)とその他の市販の教材2020年度より導入されたLearning Management systemであるWaseda Moodle(以下,た。小テストはMoodleの機能を用いて漢字の読み方をタイプする方式を採用し,定期試験も主に多肢選択問題と読み方をタイプする方式で作成した。現代では,受講生が実際に漢字を書く機会が減少していることも事実であり(文部科学電子機器などでの入力の際に必要な漢字認識能力の習得を重視することとした。ただし,非漢字系の受講生を対象としたクラスを設置していることから,「書き」も習得が必要である。「生活や人生を支える『リテラシー』という視点」(新矢 2021)でも述べられているように,「書き」の学習支援の重要性も鑑み,「書き」については課題や活動を通して支援することとした。2-2.レベル設定図1は総合日本語科目との対照表である。漢字科目では,単に漢字を学習するだけではなく,語彙や文中での使われ方も理解し,使えるようになるという目標が掲げられている。また,漢字科目は総合日本語科目より1レベル少ない5レベルまでの設定でありながら,総合科目のレベルより求められる日本語能力がやや高めに設定されている。その理由は,漢字1ではひらがな,カタカナを習得済みであることや,漢字が必要となる総合1の文型が既習であること,漢字5ではアカデミック・ジャパニーズに接続する受講生への対応が求められるためである。2-3.導入漢字および語彙導入する漢字の選定にあたり,まずは対面で使用していた市販の教科書2冊(『KANJI 等(『日本語学習のためのよく使う順 漢字2200』『漢字たまご 初級/初中級』『新装版1日15分の漢字練習 初級〜初中級(上)/(下)』『語彙マップで覚える漢字と語彙 初級1400/中級1500』)を参照した。その結果,レベルごとに導入される漢字は重複していることが多く,常用漢字に含まれる漢字であることがわかった。また,CJLでは非漢字系クラスを設置していることから,非漢字圏の初学者のことを考慮し,画数が少ない漢字から提示する必要がある。よって,導入する漢字は常用漢字の中から選定し,提示順は教育漢字での学年別配当順に則って行った。しかし,漢字5のようにアカデミック・ジャパニー
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