1.2023 年度 総括69早稲田日本語教育実践研究 第 12 号 2023 年度の「わせだ日本語サポート」の学習アドバイジング・セッションは,2022 年度秋学期から開始した対面セッションとオンライン(Zoom)セッションのハイブリッド型で行われた。来訪者数は,2023 年度計 629 名となり,2022 年度(336 名)比で 187.2%と 2 倍弱の増加となった。春学期の来訪者数は 273 名,秋学期の来訪者数は 356 名であった。日本語教育研究センター(Center for Japanese Language,以下,「CJL」)が提供する日本語科目の履修者数の増加とわせだ日本語サポートにおける対面セッションの定着に伴い,来訪者が増加していると言える。対面セッションの来訪者数は 603 名,オンライン・セッションの来訪者数は 26 名となった。形態別の来訪者の傾向を見てみると,CJL 内で日本語科目を履修している学習者は,授業の合間に対面セッションを利用する傾向にあった。一方,遠隔キャンパスにいる学習者や,対面セッションでの緊張感を回避したい学習者は,オンライン・セッションを利用していた。オンライン授業によりオンライン環境に慣れてきたものの,学習者それぞれの学習環境や適性により利用するセッションの形態が異なってきた点は 2022 年度と同様である。2024 年度も,学習者のニーズに合わせて 2 種の形態で実施する予定である。また,2023 年度のイベントは全て対面形式で開催した。JLPT について学習の仕方や教材についてアドバイスを行った「JLPT に向けてがんばろう !」,スタッフ主催の会話セッションである「日本語で話そう !」,キャリアセンターとの共催で開催した「ビジネス・キャリアセミナー」等である。特に,「日本語で話そう !」は来訪者の需要の高い会話練習の機会となるため,4 回の定例開催とした。セッションの形態も含め,2024 年度にどのようなイベントを企画するか,学習者のニーズとスタッフの負担を考慮しつつ検討していきたい。また,2023 年度に顕著であった傾向として,次の 2 点が挙げられる。対面授業の復活に伴う来訪者の増加と,日本語学習者の裾野の拡大に伴う日本語未習者や日本語学習が円滑に進まない来訪者の増加である。来訪者の増加でセッションに時間がかかるようになり,スタッフ主催のイベントや勉強会を開催する余裕がなくなりつつある。また,学習が困難な来訪者が定期的に来訪することが多く,時には精神的な支援が必要になる場合もあるため,教員との連携の重要性が高まっている。これまでも総合科目のコーディネーターや各日本語科目の担当教員と連携して支援してきたが,今後,さらに連携を密にするとともに,来訪者一人一人に寄り添った支援が必要になると考えられる。年度報告寅丸 真澄・吉田 好美「わせだ日本語サポート」活動報告
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