早稲田日本語教育実践研究 第12号
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3.2023 年度の活動実績4.研究成果の還元64早稲田日本語教育実践研究 第12号/2024/63―64題点や課題については,勉強会等でさらに深く取り上げられる。そして,その内容は,議事録に記録されることにより,同時期に勤務するスタッフや次期スタッフのための参照資料として蓄積され,活用されている。「わせだ日本語サポート」のアドバイジング・セッションにおける相談事項とその対応内容は,振り返りシートとミーティング議事録に記録され,スタッフの日本語学習に関する知識とアドバイジングの質の向上のために活用されている。しかし,それらがスタッフの学習リソースとして十分に活用されているとは言えない。その理由として,過去の資料の参照は可能であるが,来訪者数の増加に伴い,相談内容が多岐にわたると同時に複雑になり,それぞれの相談内容をスタッフ間で十分に共有することが困難になってきたこと,および学期ごとにスタッフの交代があり,知見が引き継がれにくいことが挙げられる。そこで,本プロジェクトでは,これまでに実施されたアドバイジング・セッションの内容を調査,整理するとともに,スタッフの協力のもと,来訪者の実例をもとにした事例集を作成した。具体的には,次の 3 点を実施した。(1)2023 年度に実施したアドバイジング・セッションの内容を調査・整理する。(2)(1)のうち,スタッフが特に重要性や必要性を感じている観点をヒアリングする。(3)(2)に基づき,個人情報に十分配慮した上で事例集を作成する。「わせだ日本語サポート」は,CJL において,日本語学習者の教室外の日本語学習を支援する重要施設である。また,日本語学習のみならず,生活やキャリアに関わる相談事項の一次窓口にもなっていることから,学内留学生の留学生活全般に役立っているとも言える。そのような役割を担う施設に寄せられる相談内容を整理し,事例集を作成することは,スタッフの日本語学習に関する知識とアドバイジングの質の向上につながる。そして,それらのアドバイジングを通して,本学留学生の日本語能力の向上と,本学が目指す主体的・自律的学習者の育成に貢献しうると考える。(とらまる ますみ,早稲田大学日本語教育研究センター)(よしだ よしみ,早稲田大学日本語教育研究センター)(ささき さくら,早稲田大学日本語教育研究センター)

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