注早稲田日本語教育実践研究 第12号/2024/49―50 3.コミュニケーションの日本語文型 6 (2) における応用練習6 (2) では 40 文型を学習している。8 (2) と同様,教科書に沿って授業をしている。6 (2) では,「〜における」「〜一方,」「〜に基づき,」「〜により,」「(いったい)〜の50つめることが目的である。文章は個人的な内容のため,返却の際は,添削の他に,感想も入れ,学生との信頼関係を築くことにも努めている。また,機能文型の学習を通して,文章の理解力を向上させるために,学期の中盤以降は,講師が作成した文章の空欄に学習してきた文型を補充する練習をしている。前後の文脈から適した文型を想定することにより,文型の理解を文から文章へと広げていく活動をしている。か」等の文型を用いて,調査結果についての文章を書く活動をしている。2023 年度春学期中盤は,授業でスマホの使い方について調査をした。講師が設けた「家族と話す」「SNSをする・見る」「ゲームをする」等の項目から,学生が三つ選択し,講師が集計結果を表にまとめた。結果についての文章を書く際,講師が指定した複数の文型を用いて,1.「〜における」を用いたタイトル,2.表の説明「上の表は,〜における〜を示したものである。」,3.結果の傾向「〜が最も多い。」等,4.結果から考えられること「以上のことから,〜であることが考えられる。」等を踏まえて書くように指示した。表のタイトルに「〜における」を用いる以外は,文章のどこに文型を用いてもいいとした。例えば,上記 3 では「〜一方,」等で順位の比較ができ,上記 4 では,「(いったい)〜のか」「〜により,」等を結果の分析に用いることができる。返却後,適切な文型の使用法や上記 1 〜 4の書き方について,授業で学生の例を出して振り返りをした。学期終盤の別の調査による応用練習では,文型数も増やしたが,誤用が少ない文章が書けていた。今後も機能文型の学習を通して,文章の表現力・理解力を伸ばす活動をしていきたい。 1)機能文型の分類および配当については,佐久間(2006:3-17)に詳細な解説がある。 2) 『日本語機能文型 8』と『日本語機能文型 6』には各機能の文型の学習後,複数の文型を用いて文章を書く「応用練習」の問題があるが,現在は異なるテーマで行っている。参考文献佐久間まゆみ研究代表者(2006)『「日本語機能文型」教材開発のための基礎的研究』早稲田大学日本語研究教育センター 2005 年度重点研究 研究成果報告書佐久間まゆみ研究代表者(2011)『日本語の「機能文型」に基づく人文学系講義の「談話型」に関する研究』2009 年度特定課題研究助成費(A)(一般助成)(課題番号 2009A-095)研究成果報告書[第 2 版](すずき きょうこ,早稲田大学日本語教育研究センター)
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