早稲田日本語教育実践研究 第12号
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実践紹介1.授業で用いるテキスト『日本語機能文型』について2.コミュニケーションの日本語文型 8 (2) における応用練習8 (2) の授業では,『日本語機能文型 8』の各機能の文型から 47 文型を学習している。49早稲田日本語教育実践研究 第 12 号   科目名:コミュニケーションの日本語文型 8 (2),6 (2)  レベル:初級 1・2 /中級 3・4・5 /上級 6 ・7・ 8  履修者数:8 (2)21 名,6 (2)30 名コミュケーションの日本語文型 8 (2),6 (2) では,本学日本語教育研究科の佐久間まゆみ名誉教授編著の『日本語機能文型 8』『日本語機能文型 6』をテキストにしている。これは,佐久間名誉教授等が 1999 年度より本学日本語研究教育センター(当時)で開発してきた「初級から上級の 8 段階に配当された日本語の文法教育の学習項目であり,全 16 類97 種の機能に分類された教材開発用のシラバス」(佐久間(2011:1))に基づいて配列されており,8 レベルは 99 文型,6 レベルは 76 文型ある 1)。佐久間(2006:4)は,「機能文型」を「日本語教育における学習項目の中核に位置して,文章や談話を構成する様々な「文」のしくみとはたらきを学習者に効率よく習得させるための「定型表現」」で,コミュニケーションの「実現を支えるための種々の役割を担う文を中心とした表現の類型(パターン)であり,文章・談話の主要な構成要素となるものである。」としている。本稿では,上級において,機能文型の学習を通して文章の表現力・理解力の向上を目指すために行っている「応用練習」について報告する。2-1.コミュニケーションの日本語文型 8 (2) の授業の流れ例文で文型の意味や用いる場面,文法的な規則等を確認後,練習問題で慣れていく。毎週,教科書の練習問題を指定し,学習した文型を用いて文を作る宿題を出す。授業で学習しない文型は,自習用として,文型の説明,練習問題の答えの例を数例宿題に載せている。2-2.コミュニケーションの日本語文型 8 (2) の応用練習機能文型の学習を通して,文章の表現力を向上させるために,授業で学習してきた文型を複数用いて,文章を書く応用練習を 3 週に一度行っている 2)。「過去の失敗と現在の私」「印象的な夢の話」等のテーマを設け,4 〜 5 文型を指定している。テーマに沿っていれば,タイトルは自由でよく,文型をどこに用いても構わないが,文章の始め方,続け方,終え方を意識して,エピソードを入れ,普通体で書くことを指示している。文章の中で,文型を適切に用いて,書くコミュニケーション力をつけ,さらに,自己を様々な観点で見鈴木 香子上級段階の文型の授業における応用練習

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