25寄稿論文秋葉丈志/早稲田大学ICC(異文化交流センター)の取り組みと次節はこうした個々のスタッフの感想に基づくもので,ICC としての共通の見解ではないことを付記したい。3-1.フルタイムスタッフの視点 フルタイムスタッフからは,留学生が,日本語を実際に使う場や,ローカル・スチューデントとの交流の場を求めているのではないかとの認識が多く出された。 たとえば以下のような声が聞かれた(次項の学生スタッフの声ともども,趣旨を損なわない範囲で文言を整えている)。 ・ 日本語学習の講義はあるが,実際に使い,ネイティブの学生と話をしながら交流し,日本での関係性を広めながら楽しんで学ぶチャンスが少ない。 ・ CJL の学生は日本人学生と日本語で会話をする機会を求めているので,ICC の余力があれば,CJL 生を対象とした特別プログラムがあってもいいと思う。以前実施した日本人家庭へのホームビジット(日帰り)も復活できるとよいと思う。 ・ 居場所作り,仲間作りが難しい方もいそう。言語の壁で,日本語が話せないと少し戸惑っている様子の方もいる。 ・ もっと日本語を学べるイベントに参加したいと感じている(ジャパニーズ・ランチやにほんごペラペラクラブは日程,参加できる人数が限られており,需要の方が多い) ・ 出会いの機会がほしい,日本をはじめ多様な文化に触れたい,という思いを感じる。 ・ CJL 以外の学生との交流機会が少ない。特に同年代の日本の人との交流機会が少ない。 また「ICC の存在を知ってもらうこと」「関心の高いイベントの継続実施」を課題として挙げるものや,複数の国に生い立ちが跨るなど学生の文化的背景の多様化・複雑化を背景に,「日本人・外国人(留学生)」の括りで企画や運営を行う場合に枠に収まらない学生も増えていることを指摘する意見があった。従来の「日本人学生と留学生との交流」という枠組みを超えていく必要もあることがここにも表れていると言える。3-2.学生スタッフの視点 学生スタッフからの指摘も,留学生が日本語を使う機会や,ローカル・スチューデントとの交流の場が不足しているのでは,という問題意識が多く見られた。この点はフルタイムスタッフと同様であるが,学生スタッフは以下のように,学生生活の様々な場面に渡ってこの課題を指摘している。なおこれらは個々の印象であり,学内の取り組みをより周知徹底することで補える場合もあることを付記したい。 ・ 多くの留学生がサークル活動に参加したいにも関わらず,一部を除いてスポーツ系や日本文化系のサークルは途中入会を認めていないため,そのチャンスを得られない方が多い気がする。 ・ 留学生の悩みを聞く場所がもっとあるといいと思った 10)。
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