23寄稿論文秋葉丈志/早稲田大学ICC(異文化交流センター)の取り組みを生み出すことにも繋がっている。また,イベント数の多さ自体が人の参加を促進する側面もあり,選択の幅が広がることにより,何かしら興味があるトピックが見つかるような形を整えている。そして広報面においては各種 SNS,独自のメールニュース,ポスター・チラシ,web 広報,立て看板など各方面から発信を行い,結果的に 2022 年度は約 9,400人(延べ人数)の参加者を集めた。 一方で,学生は参加者としてだけでなく,イベントの企画,そして事前準備や当日運営に関わるサポーターとして ICC に関わることも可能としている。例えば,自身の母語を学んでいる学生と一緒に楽しく話す「にほんごペラペラクラブ」や「ランゲージ・ランチ」,また出身地や自分が詳しい国を紹介するイベントのコーディネーターとして活躍できる機会がある。さらには学内で働きながら,リーダーシップや企画力,社会で通用するビジネス・スキルを習得できる学生スタッフリーダーとして勤務する選択肢もあり,ICCと関わる方法は多く存在する。2-3.具体例の紹介:にほんごペラペラクラブ ここで,数多くあるイベントの中でも,特に人気があり,長年定番イベントとして実施している「ランゲージ・チャットクラブ」の「にほんごペラペラクラブ」を紹介する。当該イベントは,日本語を勉強中の学生などが交流を通して楽しみながら,日本語会話の実践を行える内容となっている。 具体的には,約 1 カ月間,毎週同じメンバーと集まるため,人見知りの人でも他の参加者と気軽に会話ができ,継続的に交流できる場を生み出している。さらには,日本語を母語とする学生が「サポーター」となり,ICC で用意したアクティビティを通じて,参加者のコミュニケーションや活動をサポートする体制も整えている。例えば「出身地トーク」では自国のことを紹介し,「早稲田ことば」では日本人のサポーターが「ワセメシ」など学生がよく使用する言葉を紹介し,「日本昔遊び」ではけん玉,かるたなど日本伝統の遊びをする。こうして,日本語を学ぶだけでなく,様々な面から早稲田や日本の文化を楽しみながら交流できる機会を提供している。 参加した学生は,交流の中で言語を学び,実践する機会となるだけでなく,相手との会話の中で異なる考え方,習慣,文化などの多様性に触れ,自身との違いを認識しつつ自分自身を見つめ直し,知る機会にも繋がっているとの声を聴く。 にほんごペラペラクラブの参加者からはこんな声が寄せられている 8): ・短い時間ですが,たくさん日本語を話すことができます ! ・ クラブ中の交流だけでなく,終わった後もご飯を食べに行き,新しい友達ができました。 ・日本語の勉強だけではなく,他の国の習慣や文化について学ぶこともできます。 ・ 授業以外で日本語を練習したい人や日本人の友達を作りたい人には,このプログラムをぜひおすすめします ! こうしたイベントのサポーターは年間を通じて働く学生スタッフとは異なり,イベント
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