早稲田日本語教育実践研究 第12号
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20早稲田日本語教育実践研究 第12号/2024/19―30指すことが ICC の理念と言えるかもしれない 4)。1-2.学生スタッフやサポーターの方々が創る活動わせていることである。すなわち学生スタッフは企画の構想を練り,企画書を書き,企画が採用となれば今度はその準備や運営(たとえば講演イベントなら講師への打診やイベント広報,参加者募集,会場の設営から当日の司会進行など)を中心的に担い,実施報告書の提出や経験の継承まで責任を負う。 「フルタイム」と呼ばれる大学の職員も学生スタッフとともに企画を担い,特に予算の執行管理や法令遵守などに関して注意を払う。ただ,ICC が多種多彩なイベントを次々と紡ぎだし,たとえば 2022 年度を見ても年間を通じて約 160 件のイベントを通じて約 9,400名(延べ人数)の参加者を獲得し得るのは,多くの学生スタッフの熱意と創造力によるところが大きい。 加えて,ICC の様々なイベントを公募により集まったたくさんの「サポーター」の方々が支えてくれている。たとえば,英語など各言語による交流活動に,早稲田へ留学してきている学生が参加者のみならずサポーターとして加わり,積極的にイベントの進行の一端を担ってくれるなど,企画・運営の過程を通じても,学内の様々な学生・スタッフが協働する仕組みとなっている。 早稲田大学には学生サークルとしても,国際交流,留学生との交流を担ってきた歴史あるサークルがいくつも存在し,活動の層は厚い。これに加えて,大学が ICC を通じた学生参画により異文化交流を推進する意義としては,大学がダイバーシティの観点からの学生支援にリソースを投じてその価値を全学的に共有することや,より全学的に開かれた形で活動を展開することができることにあろう。内に様々な学生の居場所を作り,活躍の舞台を作っていくことが大事であると考える。1-3.「居合わせる」から「つなぐ・生かす」へ ここであらためて,学生の多様性を生かすための場としての ICC の価値について述べておきたい。 「世界の WASEDA としての国際展開」を革新戦略の一つとして掲げる Waseda Vision 1505)など早稲田大学の中長期的な計画,また留学の送り出し・受け入れを大幅に増やすことを目標に掲げる高等教育の国際化政策も相俟って,本学にやってくる留学生,また本学から外国へ留学する学生は今後増加の一途を辿る見込みである。また,早稲田大学では2004 年に国際教養学部が設立され,すべての授業を英語で実施し,かつ学生に基本的に一年間の留学義務を課し,併せて多くの交換留学生を受け入れてきた。その後,英語で学位を取得できるプログラムは各学部さらには大学院にも拡大し,学内の各箇所でも,いかに多様な学生を包摂し,学生間の横のつながりを育んでいくかが問われている。 また,社会へ目を向けると,近年多くの外国人労働者が家族を伴って来日するなど,国 ICC 創設時からの運営の特徴は,多くの学生スタッフ(学生スタッフリーダー,Student Staff Leader = SSL,以下「学生スタッフ」)を大学が有給で雇用し,企画の要を学生に担 ICC 自体が学生の力を生かしつつ,学生サークルなどが展開する活動とも連携して,学

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