注早稲田日本語教育実践研究 第12号/2024/3―1716習環境を整え,学習者一人一人の学びに寄り添っていくことを目指している。者が世界中から集まってきている。そのような学習者の期待に応え,日本語教育の面からその成長に寄り添うことが CJL の使命であると考える。その根幹にあるのは,「21 世紀市民」「地球市民」を育成するという大きな課題である。その課題を遂行していくために,今後も引き続き,よりよい授業とはどのようなものなのかという問いについて模索し,改善に向けた取り組みを続けていきたいと考える。 1)本稿の執筆者と担当章は以下の通りである。 寅丸真澄(とらまるますみ,1 章・2 章・7 章),鄭在喜(ちょんじぇひ,3 章),吉田好美(よしだよしみ,4 章),大久保雅子(おおくぼまさこ,5 章),三好裕子(みよしゆうこ,6 章) 2) CJL のディプロマ・ポリシーでは,「地球社会の中で,既成の国籍や文化では規定することができない複数の文化・言語を合わせ持ち,主体的に考え,他者と協働的に行動していくことができる人材の育成を目指す。問題発見解決力,創造的構想力,批判的精神,異文化理解を通して,新たな社会を創出できる地球市民を輩出する。」とされている。 3) VUCA とは,Volatility(変動性),Uncertainty(不確実性),Complexity(複雑性),Ambiguity(曖昧性)の略である。 4) CJL 内に設置された日本語自律学習支援室「わせだ日本語サポート」において,大学院生スタッフが授業外のピア・サポートを行っている。詳細は寅丸・吉田(2021)を参照。 5) 詳細はシラバス(https://www.waseda.jp/inst/cjl/students/registration/download/)参照。参考文献池上摩希子(2023)「2023 年度に向けた日本語教育研究センターの課題と展望― 「ことばの学びの中継点」を「世界へ向かうプラットフォーム」に―」『早稲田日本語教育実践研究』11,5-8.岩下智彦・寅丸真澄・伊藤奈津美・沖本与子・井下田貴子・三谷彩華(2023a)「CJL で学ぶ日本語学習者を対象とした Computer Based Test 開発―学習者による自律的なレベル選択の指標の開発過程―」『早稲田日本語教育実践研究』11,23-38.岩下智彦・寅丸真澄・伊藤奈津美・沖本与子・井下田貴子・三谷彩華(2023b)「上級レベル学習者の日本語能力を認定するための読解・聴解オンラインテストの開発」『早稲田日本語教育実践研究』11,71-78.木下直子(2020)「学習効果を高めるブレンディッド・ラーニングの導入を目指して―日本語初級 e-learning 教材“Steps in Japanese for Beginners”の開発―」『早稲田日本語教育実践研究』8,5-12.久保田美子・濱川祐紀代(2022)「「CJL スタンダーズ」の開発― 「ことばの学びの中継点」の役割を果たすために―」『早稲田日本語教育実践研究』10,5-18.舘岡洋子(2016)「ことばの学びの中継点として―多様性,主体性,開放性をもった CJL へ」『早稲田日本語教育実践研究』4,3-6.寅丸真澄・吉田好美(2021)「わせだ日本語サポート」の挑戦―全留学生に開かれた日本語自律学習支援を目指して―」『早稲田日本語教育実践研究』9,3-10.寅丸真澄・井下田貴子・伊藤奈津美・岩下智彦・沖本与子(2021)「CJL で学ぶ学習者のためのレベル判定テスト開発」『早稲田日本語教育実践研究』9,67-70.寅丸真澄・井下田貴子・伊藤奈津美・沖本与子・久保圭・芹川佳子(2022)「CJL で学ぶ学習者 CJL は国内最大規模の日本語教育機関であり,その教育理念と学習環境を信頼する学習
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