11センター最前線早稲田大学日本語教育研究センター/CJL総合科目群オンライン化プロジェクトの展開 た上で文型の復習を行っており,反転授業の形態が可能となっている。さらに,教科書の内容に沿って口頭表現活動を行っている。 オンデマンド授業(2)は,アカデミック・ジャパニーズの読解・ライティングを学習する授業である。WM にある教材を学習し,課題に取り組むことによって,アカデミックな日本語運用能力を高めていく。教員は,学習者が提出した課題等から理解の程度を確認し,フィードバックを行っている。 さらに対面授業の 3 コマで,教科書のテーマに沿った口頭表現の活動を通して日本語運用能力を高めていく。このコマでは,語彙・表現の学習も行う。教員は授業内でピア・ラーニングやディスカッション等を積極的に用いながら学習者間の学びの場を提供し,学びを促している。 以上の 5 コマの授業を通し,学習者の主体性・自律性を育みながら日本語の運用能力を高めていくことを目指している。5-2.授業の特徴 本科目も他の総合日本語の科目と同様,ハイブリッド型授業となっており,様々な工夫を施している。本稿では,そのうちの 3 点を紹介する。 1 点目は,本科目の文型学習における工夫である。本科目においても文型学習動画が用意されているが,「総合日本語 1」,「総合日本語 2」と大きく異なる点は,日本語による文型説明がなされている点である。やさしい日本語によって文型のポイントが説明されており,中級レベルとしてのリスニング力も必要とされる。本動画を文型の導入として活用し,学習者は自分に合った様々なリソースにアクセスしながら文型の理解を深めていく仕組みとなっている。その後,WM 上の「文型クイズ」を受け,自分の文型理解を確認していく。この「文型クイズ」は,理解度を測るものとしてだけでなく,教材リソースの一つとして活用できるよう,制限時間を設けずに,わからないところがあった場合は,自分で調べながら答えることができる仕組みとなっている。 2 点目は,オンデマンド授業の「振り返り」である。オンデマンド授業(1)および(2)では,授業ごとに「振り返り」の課題が出され,学習者は,その週に学習した内容を振り返ることができる仕組みとなっている。記入する内容は,当該週のオンデマンド授業でわかったこと,難しかったこと,質問等である。さらにオンデマンド授業(2)においては,前の週の課題で教員が行ったフィードバックを読んだ上で,わかったこと,難しかったことも記入することが求められており,学習者が教員のフィードバックを理解したかどうかがわかる工夫が施されている。本「振り返り」は,オンデマンド授業において学習者が質問できる場を提供するものであるが,教員も学習者の理解の程度を確認できる場となっている。教員はこの「振り返り」を活用して学習者一人一人とやり取りを行い,オンデマンド授業における学習者のサポートを行っている。 3 点目は,チームティーチングとしての教員間の連携である。本科目においても各クラス 2,3 人のチームティーチングが行われている。科目開講当初,オンデマンド授業(2)のみ担当する教員は学習者と直接会うことなく,WM 上でやり取りを行っているため,学習者の顔が見えず,指導が難しいという声が挙がっていた。そこで,チームティーチ
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