早稲田日本語教育実践研究 第12号
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8早稲田日本語教育実践研究 第12号/2024/3―174.総合日本語 2Example」で構成されている。一方,対面授業では,主に教科書【かつどう】を使用して標と進め方,特にオンデマンド授業の学習方法に対する理解が不足していることが挙げられる。 本科目の新たな目標と授業の進め方は,まだ始まったばかりで課題点も見られるが,言語学習の最も根本的な目的はやはりその言語を実際に使用することであろう。本科目で試みている授業の進め方はその目的に適しているものと考える。そして担当教員間の連携を深め,かつハイブリッド授業に対する理解が深まれば,今後,より運用力を向上させることができる科目として定着していくものと確信している。4-1.学習の目標と内容 「総合日本語 2」は,CJL スタンダーズの初級後半レベルに位置し,初級後半の学習者を対象としている。主な目標は,基本的な文型と語彙を習得し,日常のコミュニケーションが可能なレベルに到達することである。学習者は自分の経験や身の回りの出来事について話すことや書くこと,身近な話題に関する文章を読んで理解できるようになることが期待されている。教科書は『まるごと 日本のことばと文化 初級 2(A2)【りかい】』『まるごと 日本のことばと文化 初級 2(A2)【かつどう】』を使用している。また,初級後半レベルの学習だけでなく,「初中級の文法」という時間を設け,中級前半レベルへの橋渡しに必要な文型学習を行う。 授業形態は,「総合日本語 1」と同様で,週 5 コマから成り立っており,そのうちオンデマンド授業が 2 コマ,対面授業 3 コマ(火曜日 2 限,木曜日 1,2 限)で構成されている。オンデマンド授業では,文型学習動画を視聴し,教科書【りかい】を中心に文型や語彙を学ぶ。文型学習動画は,初級後半レベルが 50 文型,初中級レベルが 21 文型あり,各動画は「文型表紙」「導入 Introduction」「活用 Grammar」「意味 Meaning & Usage」「例文授業運営を行う。また,本科目では,日本語でのプレゼンテーションや説明文の執筆など,「話す活動」と「書く活動」も取り入れている。筆記テストと会話テストも対面授業の際に実施される。4-2.授業の特徴 本科目における特徴は,オンデマンド授業で教科書【りかい】を用いてインプットを中心に,対面授業で教科書【かつどう】を用いてアウトプットを中心に行っていることと ,「書く活動」を対面で実施していることである。 オンデマンド授業では,まず,教科書【りかい】の語彙リストを使用して学習対象となっている課の新出語彙を学び,語彙クイズを受験することで,その理解度を測る。クイズは満点になるまで何度でも受験できるので,学習者の習熟度によって復習することが可能である。そのあと,当該課で扱う文型を学ぶために,文型学習動画を視聴し理解を深める。視聴後,学習者はワークシートの問題に取り組む。ワークシートでは教科書【りかい】の問題を解き,学習した文型を用いて短文を作成する。ワークシートを設定した期日

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