6早稲田日本語教育実践研究 第12号/2024/3―173.総合日本語 1PDF ファイルを WM に掲載する。学習者はそれをよく確認した上で,指示に従って作文ら「総合日本語 4」の事例を取り上げる。2023 年度春学期の授業を運営管理したレベルコーディネーターの視点から,各レベルの学習の目標と内容,授業の特徴,今後の展望を報告する 5)。3-1.学習の目標と内容 「総合日本語 1」は,CJL スタンダーズの初級前半レベルに位置し,初級前半の学習者を対象としている。主な目標は,初級前半の文型および語彙を学習し,日常的な場面で,場面に応じた適切なコミュニケーションができるようになることである。具体的には,単純な情報交換をすることや,身近なことについて書かれた短く簡単な文章が読めること,かつ自分のことを短い文章で書けることである。教科書は『まるごと 日本のことばと文化 初級 1(A2)【りかい】』『まるごと 日本のことばと文化 初級 1(A2)【かつどう】』を使用している。 授業形態としては,週 5 コマの授業を対面型授業(以下,「対面授業」)とオンデマンド型授業(以下,「オンデマンド授業」)を並行して行っており,対面授業 3 コマ(火曜日 2限,木曜日 1,2 限),オンデマンド授業 2 コマ(文型学習動画 1 コマ,書く活動 1 コマ)で運営されている。 オンデマンド授業の文型学習動画は,対面授業の前の予習用として制作されたもので,計 60 文型を扱っており,各動画は「文型表紙」「導入 Introduction」「活用 Grammar」「意味 Meaning & Usage」「会話 Dialogue」で構成されている。 一方,もう一つのオンデマンド授業である「書く活動」は,教科書【りかい】にある「作文」と,特定のテーマについてよりまとまった文章を書く活動である。毎回担当教員が担当日の作文課題として,テーマ,作文を書く際の留意点や提出期日,評価をまとめたを書き,期日までに提出することになっている。その週に学習した文型を用いて書くことを意識し,語彙や表現なども調べて書くように勧めている。 対面授業では,火曜日は教科書【りかい】で文型を学習する。木曜日には教科書【かつどう】を学習し,それを活かして「話す活動」を行っている。また各種筆記テストと会話テストも対面授業で実施される。3-2.授業の特徴 本科目の特徴は,文型の説明より先に教室活動を通して文型理解を促し,よりインタラクティブな指導によって日常生活ですぐに使える日本語能力の育成を図れるように構成されていることである。授業の流れは,「活動授業(対面授業)で文型のルールを推測する→文型学習動画(オンデマンド授業)で自分の理解の齟齬を修正したり深めたりする→文法授業(対面授業)で自分の理解を確認し,運用練習を行う→書く活動(オンデマンド授業)を通して産出する」となっている。 具体的には,木曜日の対面授業では,前述の通り,教科書【かつどう】を学習するが,
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