参考にニュースをまとめる宿題を課し,次の授業でフィードバックを行っている。2-2.グループ発表3 つのステップは各 5 回行い,それぞれの最後の授業でグループ発表を行っている。1 回目の発表は,授業で学んだニュースの構成を意識し,ニュースの語彙を用い,自身の経験をニュースに仕立て,アナウンサーになったつもりで話してもらっている。発表後に,グループで質疑応答を行う。このクラスは毎回 25 名□30 名と大きく,お互い知り合う時間がほとんど取れないため,クラスの雰囲気作りも兼ねて行っている。2 回目は,各自が興味のある新聞を選び,まとめた内容の発表を行う。学生には聞き手に内容を理解してもらえるよう話すことを指導している。難しいことばの言い換えや説明のみならず,どんな順で話せばうまく伝わるかなど,工夫しながら発表を行っている。3 回目は,各自が選んだ動画ニュースの発表を行う。特に重視しているのが発表後のグループディスカッションで,トピックを発表者が決めディスカッションを行う。なお,2回目と 3 回目の発表では日本人学生にボランティアとして参加してもらい,2 回目は発表内容についての質問や意見を,3 回目はディスカッションへの参加をお願いしている。留学生にとっては,日本の現状や日本人学生の考えを聞く絶好の機会であり,発表のモチベーションとなっている。また,ボランティアの皆さんからも「日本人でも知らないニュースがあり,とても勉強になった」「自分たちと違う意見が聞けて,とてもよかった」「とてもわかりやすく説明ができていて驚いた」という感想をいただいている。学生授業アンケートでは,「ニュースや新聞に慣れてきた」「ニュースが聞き取れるようになった」以外に,「ニュースを自分の言葉でまとめられるようになった」「ニュースをやさしい言葉でまとめることが能力上達の役に立つ」などの感想が見られ,自分なりにニュースがまとめられたことに達成感を感じているようである。また,ニュースを通して日本の状況や考え方を知ることで,自身の国はどうなっているのだろうかと関心を持ち調べてくる学生や,様々なニュースに触れたことで,関心のある分野が見つけられたと話してくれる学生もいた。この授業をきっかけに,学生自身の関心が広がり自律学習につながっていけば,大きな学びになるのではないかと期待している。ここ数年,コロナのため授業がオンラインになっている。そのため,従来の対面での方法から変えざるを得ない点がいくつかあり大変であったが,新たな気づきも生まれた。またこれから対面に戻ることになるが,オンライン授業で得たものをどう対面授業にいかしていけるか,今後の課題としていきたい。(にしべ ゆか,早稲田大学日本語教育研究センター)早稲田日本語教育実践研究 第11号/2023/87―88 3.学生の学びと今後の課題88
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