早稲田日本語教育実践研究 第11号
91/126

西部 由佳実践紹介1.はじめに2.授業について87早稲田日本語教育実践研究 第 11 号   科目名:日本社会を知る:観る・まとめる・伝える 4-5  レベル:初級 1・2 /中級 3・ 4・5 /上級 6・7・8  履修者数:25-30 名本科目は,中級レベルであるがニュースに慣れていない,これからニュースが聞けるようになりたいと考えている学生を対象としている。受講者の中には,ニュースが聞けるようにならなくてはと思ってはいるものの,あまり自信がない,普段ほとんどニュースを見ないという学生も含まれている。授業の目的は,身近なニュースが分かるようになること,見たり聞いたりしたニュースを友だちにわかりやすく伝えられること,そして,ニュースについての自分の考えが話せることの 3 つである。友だちとの日々の会話の中で,ニュースを話題として取り上げることは少なくない。ニュースが理解できるだけでなく,その内容を相手に説明し,自分の考えが伝えられることも大切だと考えている。2-1.授業の概要授業は 3 つのステップに分かれている。まず,聴解教材を用い,ニュースの構成を学ぶ。その構成を意識しながら,キーワードを探し,ニュースのポイントをつかむ練習を行う。また,ニュースで使う語彙は特別なものが多いため,その導入も行っている。その後,実際のニュースを聞き,ニュースの構成や使われている語彙の確認を行う。次のステップとして,新聞を扱っている。新聞の内容を理解してもらうことはもちろんであるが,内容をいかにわかりやすく友だちに伝えられるかという点も重視している。新聞には漢語語彙が多く,そのまま漢語語彙を用い内容を伝えようとすると理解してもらえないという事態に陥る。どのような工夫をすればよいか,やさしい日本語を意識しながら学生と一緒に考えている。こうした試みにより,自分の言葉で伝えられるようになるだけでなく,自身が本当に理解しているのかの確認にもつながっている。最後のステップでは,録画したニュースやネットニュースを視聴する。ここ数年はオンライン授業のため,著作権の関係からネットニュースを使っている。ニュースを視聴し内容を理解した後,トピックを決めグループディスカッションを行う。また,内容を更に深めるため,関連の新聞を読むこともある。これらの活動は,内容確認の自作プリントを用意し進めている。学生には,プリントをニュースをまとめ,伝える授業

元のページ  ../index.html#91

このブックを見る