早稲田日本語教育実践研究 第11号/2023/81―82 15201921251512261614スト版を用いた。実践方法は 90 分の授業のうち,13 分を担当者の活動とし,①学生に 10分の番組を視聴させ,②約 3 分で学生に外国人リポーターが使った相づちとフィラーを発表させる,という流れで行い,計 7 回の授業を実施した。初回の方の授業では,学生が番組を見ながら言葉を聞き取ることが上手に出来なかった為,説明を加えながらの言葉の確認に多くの時間を割いたが,回数を重ねる毎に聞き取りが上達した。中間/期末試験の評価・成績のうち,スクリプトの配点が 5 点,口頭試験の配点が 15点である。中間/期末試験は,事前に学生にテキストの複数のトピックの中から 2 つを選ばせてスクリプトを書かせ,後日,口頭試験を行った。表 1 は中間試験と期末試験で,学生がテキストにある【会話の例】の<会話のポイント>である相づちとフィラーを適切に書いた回数を数えた。中間試験と期末試験を比較した結果,過半数の学生が<会話のポイント>を書いた回数を維持,または回数を上げることができた。学生 A 学生 B 学生 C 学生 D 学生 E 学生 F 学生 G 学生 H 学生 I中間試験28期末試験21授業で NHK の番組を 7 回にわたり教材として使用したことで,留学生が話を広げながら会話を続ける事が出来るようになった。学期後半にブレイクアウトルームを巡回していて,学生に「○○さん,会話が続くようになったね」と声をかけると,別の学生が「○○さんは質問するのがすごく上手」といった具合に会話を続けるコツが身についてきた。この成果が得られた理由としては,留学生と同じく外国人であるリポーターが日本語で話すのを見る事により,自分にも出来るとイメージし,日本語を話すハードルが下がったからではないだろうか。会話の授業は来年度以降もオンラインが続くが,オンラインでも会話が上達する実践的な授業を引き続き模索していきたい。参考文献NHK Trails to Oishii Tokyo(美味しい東京)(2020)<https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondemand/video/6119003/>(2022 年 6 月 1 日視聴)<https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondemand/video/6119008/>(2022 年 6 月 8 日視聴)<https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondemand/video/6119010/>(2022 年 6 月 15 日視聴)<https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondemand/video/6119001/>(2022 年 6 月 29 日視聴)<https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondemand/video/6119002/>(2022 年 7 月 6 日視聴)<https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondemand/video/6119009/>(2022 年 7 月 13 日視聴)<https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondemand/video/6119007/>(2022 年 7 月 20 日視聴)4.実践の成果と今後の課題82表 1 会話のスクリプトで工夫した回数211615121819(とよだ あきこ,早稲田大学日本語教育研究センター)
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