豊田 晶子―効果的な会話のポイント―1.会話の授業を受講する目的2.これまでの授業3.学習者にとってより効果的な動画JAPAN で放送している「NHK Trails to Oishii Tokyo(美味しい東京)」を視聴することにし81実践紹介早稲田日本語教育実践研究 第 11 号 科目名:会話 2 レベル:初級 1・ 2 /中級 3・4・5 /上級 6・7・8 履修者数:9 名留学生が会話の授業を受講する目的は,自然な日本語を話せるようになりたいと思うからである。しかしながらコロナ禍が始まって以来,日本人学生とキャンパスで交流する機会が減り,それ故にリアルな日本語を習得する場が失われたと感じる留学生は少なくない。本科目では,実践の場として日本語を練習する機会が少ない中でも自然な日本語を上達させる事を目標に,新たな試みとして NHK ワールド JAPAN の番組を授業で「レアリア・生教材」として用いた。これまでの授業の流れは CJL のテキストと web 上で公開されている日本語学習者用の動画コンテンツを用いて,①テキストの【会話の例】に示してある「会話をはじめるとき,何と言っていますか」,「楽しく会話を続けるために,何をしていますか」,「表現のイントネーションをチェックしましょう」,「会話を終わるとき,何と言っていますか」等の会話のポイントを説明,②学生同士が練習する前に筆者が【会話の例】を読み聞かせる,③食事や旅行などその日の授業のトピックと同じ内容である前述の web 上の動画を適宜視聴する,と言う流れであった。この指導法は留学生が日本語会話の骨子を学ぶには一定の効果があるが,日本語学習用の動画に登場する日本人の会話の受け答えはどこか一本調子であり,これを練習する留学生の日本語もぎこちなさが残り不自然であった。2. の 反 省 を 踏 ま え,CJL の テ キ ス ト に 加 え て, 新 た な 教 材 と し て NHK ワ ー ル ドた。この番組は日本に住んでいる日本語が堪能な外国人が日本の食材や料理を紹介する内容である。この番組を教材として採用した理由は,食べ物の話題は多くの学生が興味を持つトピックであり,自然な日本語を話す上で必要な相づちとフィラーが多く使われているからである。本来の番組は約 30 分間であるが,時間的な制約により 10 分間のダイジェ楽しく会話を続けるための聴解練習
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