テストフォームの構成(項目数)読解:19聴解:14読解:合計 53(A 冊子:27 / B 冊子:26)聴解:合計 28(A 冊子:14 / B 冊子:14)学習辞書支援グループ 2015)および「日本語を読むための語彙データベース Ver1.1(以下,VDRJ)」(松下 2011)の 2 つの DB から重複する語彙を抽出し,次に, VDRJ に記載された語彙ランクを参考にしながら,定性的に語彙の適切性を検討した。項目作成は,読解,聴解ともに項目作成者による項目作成,複数名による検討,修正という手順で行った。また,テスト項目形式判定のための一般的な指針(ブラウン 1999)や聴解素材制作の留意点(西郡・宮田 2003)を参考に,テスト形式上の問題点や内容に関する倫理的な問題にも留意した。聴解音声の録音は,予備調査においては,声優および音声録音の専門家,本調査においては専門業者に依頼し,作成した。最終的に読解は約100 項目,聴解は約 40 項目の作成,検討が行われた。2 年半の開発期間で予備調査および 2 回の本調査を行った。各調査は 1 学期に 1 回学期終了時に実施し,回答データを古典的テスト理論に基づいて分析した。その後,分析結果に基づいた項目プールの作成とテスト編集を行い,難易度の等質な複数のテストフォームを作成した。各調査の概要および有効回答数を表 3 に示す。調査名予備調査 20 年度秋学期(2020 年 1 月〜 2 月)本調査 121 年度春学期(2021 年 7 月)本調査 2予備調査および本調査の目的は,1)項目情報の収集,2)レベル判定指標としての精度の検証であった。予備調査では,上記の 2 つの目的に加え,読解文の表示や聴解音声に聴取上の問題がないかなど,テストシステムに関する懸念も確認した。調査協力者は,総合日本語 4 〜 6 および 7 レベル以上に相当するテーマ科目履修者から任意で調査協力者を募集し,調査に関する同意を得た上で行った。予備調査と本調査のテストフォームは,異なっており,本調査では,項目数が多いことから,テストフォームをA,B2 つの冊子に分割し,調査協力者の任意の時期に分けて回答できるようにした。想定した受験時間はそれぞれ約 60 分であった。受験場所は原則,各教室または学内 PC ルームで,一部の学習者は自宅で受験した。調査によって得られた回答データは,問題がある回答を一部除いた上で,分析に使用した 3)。本調査に使用したテストフォームは,1 回目と 2 回目共通であり,受験者の重複はないことから 2 度の調査の回答データを統合して分析した。分析は,まずテスト全体の特徴を確認するために受験者全体の得点分布,正答率および信頼性係数を確認し,次に,項5.調査概要および分析結果75ショート・ノート岩下智彦・寅丸真澄・伊藤奈津美・沖本与子・井下田貴子・三谷彩華/上級レベル学習者の日本語能力を認定するための読解・聴解オンラインテストの開発有効回答数(調査協力者数)56(59)62(62)読解のみ 61表 3 調査の概要および有効回答数実施時期21 年度秋学期(2021 年 12 月〜 2022 年 2 月)
元のページ ../index.html#79