本章では,分析対象となった文献を,四つのアプローチに振り分けた結果を示したうえで,それぞれのアプローチにおける音声観・音声教育理念にかかわる議論の内容を示す。4-1.文献の分類発音矯正・音声指導・音声学習支援・やりとりの場づくりというそれぞれの分類ごとの文献の本数を,1960 年代〜 2010 年代以降 7)という年代別に並べた(図 3)。図 3 音声に対するアプローチの分類ごとの文献本数の年代別推移 8)発音矯正に分類される文献の本数は,1960 年代〜 1980 年代にかけて増え,1990 年代に減り,2000 年代にまた増え,2010 年代以降は減っている。発音矯正に分類される文献数は増減があるものの,他のアプローチに分類される文献が出現して以降も大幅に減っているとはいえず,現在でも発音矯正というアプローチにもとづく研究が進められていることを示している。音声指導に分類される文献の本数は,1980 年代から 1990 年代にかけて大幅に増え,2000 年代・2010 年代以降もほぼ同じ本数であった。したがって,現在でも音声指導というアプローチにもとづく研究が進められていることが明らかになった。音声学習支援に分類される文献の本数は,2000 年代から 2010 年代以降にかけて増えている。音声学習支援というアプローチにもとづく研究は,今後も進められていくことが予想される。4.分析結果62早稲田日本語教育実践研究 第11号/2023/55―70図 2 文献の選定基準となるそれぞれの語
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