早稲田日本語教育実践研究 第11号
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名 詞名   詞経 済物 理安定(6)* 大きさ(20)規模(4)光(11)売買(4)* 力(8)波長(7)形容詞数 学化 学関数(28) 単体(36)値(18)水溶液(26)グラフ(16)水(21)和(11)原子(17)方程式(10)反応(17)*数(9)物質(15)角(8)化合物(14)計算(6)* 分子量(14)約 53%,数学が約 52% で,その順に難易度が上がる。最高の経済と最低の化学との間には,29.5 ポイントの開きがあり,<経済>,<物理>,<化学・数学>に大別された。4 分野とも名詞の共起語が最も 1 級語彙の割合が低く,難しい。動詞と形容詞については,経済・物理・化学では,形容詞のほうが 1 級語彙の割合が高く,数学では動詞のほうがわずかに 1 級語彙の割合が高い。分 野経 済 81.8%( 431/ 527) 88.6%(241/272) 72.3%(170/ 235) 100.0%( 20/ 20)物 理 67.8%( 852/1256) 92.4%(508/550) 43.1%(272/ 631) 96.0%( 72/ 75)化 学 53.2%(1147/2156) 81.4%(603/741) 33.2%(431/1299) 97.4%(113/116)数 学 52.3%( 348/ 666) 87.7%(143/163) 39.2%(191/ 487) 87.5%( 14/ 16)1 級語彙の共起語をとる専門連語の割合を共起語の品詞別に比較すると,分野間の差は,動詞が 11 ポイント,形容詞が 12.5 ポイント,名詞が 39.1 ポイントだった。動詞と形容詞は,相対的に分野間の難易度の差が小さいのに対し,名詞は分野間の難易度の差が大きく,そのことが共起語全体の難易度における分野間の差に影響を与えているのではないかと思われる。表 10 は,動詞の共起語および名詞の共起語のうちよく使用された 10 語を( )の専門連語数の降順に示したものである。専門連語数が同じ語が複数ある場合は,五十音順に配列している。そのため,10 番目の共起語と同じ専門連語数の語が複数あっても,11 番目以降はのせていない。( )の右の*は,動作名詞を表す。動詞の共起語 10 語には,一般的な日本語教育で学習する和語動詞が多かった。「なる」「もつ」が 3 分野にあるように,複数の分野に共通する共起語がある一方,経済の「供給する」や化学の「酸化する」のように,その分野の専門語の動詞形でその分野にのみ見られる動詞もあった。名詞の共起語 10 語は,経済と他の 3 分野とでは傾向が異なった。経品詞分野 経 済1 増える(7) 変化する(26) なる(19) なる(30)2 起こる(5) 測定する(19) もつ(14) 酸化する(29) 発行(5)* 向き(17)3 拡大する(5) 受ける(15) ある(10) 反応する(28) 変動(5)* 変化(15)*4 供給する(5) 生じる(13) とる(9)5 なる(5)放出する(13) 成り立つ(9) つくる(23) 自由化(4)* 振動(10)*6 発行する(5) もつ(13)7 まかなう(5) 起こす(12) 計算する(5) もつ(22)8 上がる(4) 起こる(12) 通る(5)9 行う(4)変える(11) 含む(5)10 上昇する(4) 増加する(11) 与える(4) 結合する(19) 競争(3)* エネルギー(6) 公式(6) 分子(13)48早稲田日本語教育実践研究 第11号/2023/39―54表 9 1 級語彙の共起語をとる専門連語の割合全 体動 詞表 10 よく使用された動詞および名詞の共起語動   詞物 理数 学化 学示す(26)する(7)用いる(22) 取引(4)* 波(10)溶ける(21) 拡大(3)* コンデンサー(7) 区間(6) 金属(14)生じる(20) 家計(3)

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