早稲田日本語教育実践研究 第11号
50/126

注)/の前は中学用語,後は高校用語を表す。早稲田日本語教育実践研究 第11号/2023/39―54 【経済】価格 34 企業 34 市場 28 経済 27 景気 22 所得 19 生産 17 株式 15    サービス 14 消費者 13【数学】関数 34 集合 26 グラフ 24 三角関数 19 導関数 17 要素 17 解 15    確率 15 座標 15 不定積分 15【物理】波 56 力 45 エネルギー 40 電荷 30 振動数 24 波長 24 電子 23 抵抗 22    熱 22 磁界 21【化学】単体 44 水 44 原子 38 分子 31 化合物 30 分子量 28 pH28 気体 26    物質量 24 酸化数 17【経済】株主 間接税 市場価格 租税 中央銀行 / 技術革新 経済主体 国際収支    終身雇用制 第三次産業【数学】1 次関数 樹形図 / 階乗 空事象 重解 真数 正弦曲線 対数関数     楕円 余弦定理【物理】弾性エネルギー 電力 / 核融合 基本振動 振動電流 素粒子 ダイオード    透磁率 等速円運動 モル比熱【化学】化学変化 再結晶 / アゾ基 価標 ケトン 周期律 水素イオン濃度     チンダル現象 配位結合 芳香族アミン表 6 と表 7 の中心語には,中学用語と高校用語が混在する。表 6 では,経済の中心語のみすべて中学用語だが,他の 3 分野の中心語には,中学用語と高校用語があった。経済のみ表 6 の中心語がすべて中学用語なのは,高校用語が作る専門連語そのものが全体の約11%(表 3)のみで,そのうち最も多くの専門連語を作った「為替相場」でも専門連語数は 7 だからである。表 7 の中心語には 4 分野とも中学用語と高校用語があったが,経済は中学用語のほうが多く,他の 3 分野は高校用語のほうが多かった。4-4.共起語の品詞専門連語は,中心語の専門語と共起する共起語の品詞によって分類することができる。資料の 4 分野の専門連語における共起語の品詞は,どの分野も動詞,名詞,形容詞だった。共起語が動詞の専門連語とは,「波がぶつかる」「分子量をもつ」「市場に介入する」「電気分解で発生する」などの連語である。共起語の動詞は一般語なので,「上がる/上昇する」「測る/測定する」などの類義語も珍しくなく,「価格が上がる」と「価格が上昇する」や「温度を測る」と「温度を測定する」などは,同じ専門概念を表す類義の専門連語といえる。共起語の動詞のなかには,「財を供給する」の「供給する」や「水が蒸発する」の「蒸発する」のように,動作的な概念を表す専門語の動詞形がある。そのような動詞は,言語学的な立場からは専門語という見方もある(国立国語研究所 1981:165)。46表 6 多くの専門連語を作った中心語の例注)数字は専門連語数,下線は中学用語を表す。表 7 1 種の専門連語のみ作った中心語の例

元のページ  ../index.html#50

このブックを見る