12論文小宮千鶴子/留学生のための専門連語の4分野比較平 均2.35.54.65.04.85.64.45.0化学の中心語数29.3%(127)22.9%( 99)13.2%( 57)17.1%( 74)11.5%( 50)5.3%( 23)0.7%( 3)100.0%(433)表 4 は中心語 1 語あたりの専門連語数を示したものである。中心語を中学用語と高校用語に分けて,1 語あたりの専門連語数を求めると,4 分野とも中学用語のほうが高校用語よりも多かった。両者の差が最大だったのは,化学の 6.7 ポイントで,最小だったのは数学の 4.3 ポイントだった。ただし,中心語の段階を区別せずに全体で平均すると,中心語1 語あたりの専門連語数は,4 分野とも 5 種台で,差は小さかった。数学・物理・化学の専門連語における中心語は,表 2 から 8 割以上が高校用語で,中心語の 8 割以上が中学用語の経済の専門連語とは対照的だった。だが,中心語 1 語あたりの専門連語数は,4 分野とも中学用語のほうが高校用語よりも多く,中学用語はより基礎的な中心語といえる。4-3.中心語別の分布表 5 は 4 分野の専門連語を中心語別にまとめ,同じ中心語が何種の専門連語を作ったかという専門連語数の分布を示したもので,( )は用語数である 5)。それによると,全体としては,少数の専門連語しか作らなかった中心語の割合が高く,多くの専門連語を作った中心語の割合は,低かった。1 種の専門連語のみ作った専門連語数 1 の中心語の割合は,数学が約 19%,物理が約21%,化学が約 29%,経済が約 33% で,専門連語数 2 まで範囲を広げると,化学は約52%(226),経済は約 50%(47),数学は約 44%(59),物理は約 44%(100)に増え,4割以上に達した。それに対し,専門連語数 17 以上の中心語の割合は,4 分野とも 8% 未満で,経済と物理は約 7%,化学は 6%,数学は約 5% だった。専門連語数 経済の中心語数3□45□89□1617□3233□64計次に,多くの専門連語を作った中心語と,1 種の専門連語のみ作った中心語の例をそれぞれ 10 語ずつ表 6 と表 7 に示す。表 6 の中心語は,一般の人にも知られている専門語が多い。それに対し,表 7 の数学・物理・化学の中心語には,一般の人が日常生活で接する機会があまりない専門語が多い。ただし,経済の中心語には,ニュースなどに使用される用語が多い。45表 4 中心語 1 語あたりの専門連語数分 野 中学用語 高校用語経 済6.7数 学8.8物 理10.1化 学11.1物理の中心語数20.9%( 47)23.7%( 53)20.4%( 46)16.0%( 36)12.4%( 28)5.3%( 12)1.3%( 3)100.0%(225)表 5 中心語別にみた専門連語数の分布数学の中心語数32.6%(31)16.8%(16)15.8%(15)15.8%(15)11.6%(11)5.3%( 5)2.1%( 2)100.0%(95)18.8%( 25)25.5%( 34)20.3%( 27)18.8%( 25)12.0%( 16)3.8%( 5)0.8%( 1)100.0%(133)
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