早稲田日本語教育実践研究 第11号
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   参考 URL:https://www.waseda.jp/top/about/disclosure/univ_policy(最終閲覧;2022/8/8)  2) 架空データは,第 7 章の等化分析の結果において,IRT を用いて推定された母数として使用した。項目間の相対的な関係が再現できるよう実データを模して生成したもので,図2 〜 4 は,架空データを用いて作図を行ったものである。  3) 公開された熟達度テストの項目やそれを元にした項目が出題され,受験者の得点分布が確認されている点から集団基準準拠テストを想定した開発と考えられる。  4) テスト開発において念頭に置くべき点として,その状況における様々な制約についての理解(マクナマラ 2004)と,その制約下においてもテストの有用性を保つことが挙げられる(Bachman & Palmer 1996)。本テスト開発では,1 章で述べた背景を踏まえた上で,目標を達成することが有用性に繋がると考えた。  5) 各レベル別に正答率の分布を確認し,第 1 四分位数または第 3 四分位数から四分位範囲× 1.5 以上離れた値にあたる受験者の解答を外れ値とした。    CJL では自律的な科目選択が行われていることから,各科目の履修者が当該レベル相当に該当しない場合がある。分散分析の結果が影響を受けているが,この点を考慮した措置として行った。  6) X 軸に受験者を総得点によって分割した群,Y 軸に各グループの受験者が選択した選択肢の選択率を示した図。受験者の能力別の回答傾向からどのような間違いが生じやすいかといった情報を得ることができる。  7) 各レベル別に正答率の分布を確認し,第 1 四分位数または第 3 四分位数から四分位範囲×1.5 以上離れた値にあたる項目を外れ値とした。謝辞: 本テストの開発は,項目作成,調査に際し,本センター各科目担当教員をはじめ,多くの方にご協力いただき実現したものである。この場を借りてお礼を申し上げたい。また等化を含め,分析については,岩間徳兼氏(北海道大学)に丁寧にご教示いただいた。ただし,本稿の内容は筆者らが全面的に責を負うものである。付記: 本稿は,2019 〜 2021 年度早稲田大学日本語教育研究センター研究プロジェクト「CJL で学ぶ学習者のためのレベル判定テスト開発」の研究成果の一部である。参考文献今井新悟・伊東祐郎・中村洋一・菊地賢一・赤木彌生・中園博美・本田明子(2010)『J-CAT Japanese Computerized Adaptive Test 日本語能力をコンピュータで測る』山口大学留学生センター.今井新悟・黒田史彦(2012)「J-CAT と既存のテストの関連付けの方法」筑波大学留学生センター日本語教育論集 27,57-66.大隅敦子・谷内美智子・小野澤佳恵・篠崎摂子・浅見かおり・野口裕之・小森和子(2010)「新 しい日本語能力試験が目指すもの」日本語教育学会 2009 年秋季大会シンポジウム【配布資 料】<https://www.jlpt.jp/reference/pdf/2009_020.pdf>(2022 年 12 月 3 日最終閲覧) 熊谷龍一(2009)「初学者向けの項目反応理論分析プログラム Easy Estimation シリーズの開発」『日本テスト学会誌』5(1),107-118.小林典子(2015)「SPOT」李在鎬(編)『言語テストハンドブック』くろしお出版,110-125.小森和子(2011)「プレースメントテストのオンライン化の試みと問題項目の分析評価」19,89-106.小森和子・柳澤絵美・安高紀子(2017)「日本語プレイスメント・テストの開発と問題項目の分析−国際日本学部の ET 日本語科目における試み−」『明治大学国際日本学研究』9,31-61.豊田秀樹(2012)『項目反応理論[入門編](第 2 版)』朝倉書店.寅丸真澄・岩下智彦・伊藤奈津美・沖本与子・井下田貴子・三谷彩華(2021)「学内日本語学習37論文岩下智彦・寅丸真澄・伊藤奈津美・沖本与子・井下田貴子・三谷彩華/CJLで学ぶ日本語学習者を対象としたComputer Based Test開発

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