12112ED論文岩下智彦・寅丸真澄・伊藤奈津美・沖本与子・井下田貴子・三谷彩華/CJLで学ぶ日本語学習者を対象としたComputer Based Test開発識別力 項目レベル 難易度 項目ラベル 1 語彙 E1.052 文法 D0.79ることを明示した。これにより,文法,語彙それぞれに 1E 〜 6D の 12 段階のラベルが付与された 149 項目の項目プールが完成した。項目プールの例を表 6 に示す。ID問題飲み物が( )ある。この車は,古い( )高い。注:表内の内容は例であり,問題の情報,困難度,識別力などは架空のものである。8-2.テストフォームの編集と内容的な妥当性検証としての出題項目の検証本テストは,フォーム式(固定型)で,事前に難易度が同等に設計された複数のテストフォームを用意し,各学期で出題するフォームを変更する仕様とした。これにより,同一の受験者に対する項目の露出を最小限に抑えながら,テストによる日本語能力の測定精度の維持を目指した。テストフォームの編集に際しては,事前に項目ラベル別の出題数を定めることで,フォーム間の出題領域,項目レベル,難易度の均一性を担保した。これをテストシステムにアップロードし,実施時期別に使用するフォームを変更することで,CJLレベルチェックテスト(文法・語彙)の運用に向けた準備が完了した。本テスト開発における目標は,到達度テストと熟達度テストという 2 つの特徴を備えたテストとして運用することであるが,熟達度テストとしての妥当性については,4□1 で述べた J-CAT への限られた回答を根拠とする基準関連妥当性(5□2),および構成概念妥当性の検証に留まっている。そこで,熟達度テストとしての内容的な妥当性検証の一端として,項目プール内の項目が日本語の言語知識をどの程度網羅しているのかの手がかりを得ることを目的とし,レベル情報が付与された日本語教育の文法リスト(堀他 2016)と項目の対照を行った。その結果,レベル別の文法項目数は,初級前半 4,初級後半 15,中級前半 7,中級後半 29,上級前半 11,リスト外 10 と幅広いレベルの文法項目が出題されていることが確認できた。本稿は,2 年半におよぶ CJL レベルチェックテスト(文法・語彙)開発の報告として,テスト設計,試行調査,等化分析,テスト編集という一連の作業を記述したものである。架空データを用いることで,より具体的な分析過程と結果を詳述することを目指した。本テスト開発に際しては,CJL 独自の背景を考慮し,1)到達度テストとしての機能を有するテストの開発,2)熟達度テストとしての機能を有するテストの開発,3)難易度の等質な複数のフォーム作成を前提としたテストの開発という 3 つの目標を設定した。1)については,構成概念の設定,内容的妥当性,および得点に関する妥当性の一端を選択肢 3選択肢 4正答肢 困難度 いくら すぐに 1.34しか のに 40.979.まとめと今後の課題35表 6 項目プールの例選択肢 1選択肢 2領域たくさんたいへん語彙ところ 文法 くて
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