x 軸:受験者特性値 y 軸:度数 注: 縦軸の各層は項目レベルで上から順に 2 〜6 レベル図 4 レベル別受験者特性値の分布検証の結果,いずれのレベルも各レベルの受験者特性値の分布のピークは,当該レベルの得点区分の下限と 1 つ上のレベルの得点区分の下限の間に位置しており,得点区分が妥当であることが示唆された。いずれのレベルも得点区分の下限は,各レベルの受験者の分布のピークより受験者特性値上低い値に位置しており,この点からも得点区分は有効に機能していたといえる。ただし,判定に関する懸念も確認された。図 3(上図)から,判定レベル 6 の能力域が他のレベルのそれに比べて広くなっていた。また,図 3(下図)からも,判定レベル 7 の区分点が他のレベルに比べて情報量,つまり測定精度が低い結果が示された。判定レベル 6 に相当する受験者の分布も広がっており,レベル 6 以上の判定の精度についてはやや課題があることが示唆された。7-4.受験者母数に関する検証判定レベル別に受験者母数の分布を確認した。レベルが上昇するごとに分布が値の高いほうに移行していることが確認された(図 4 参照)。ただし,判定レベル 6 の分布は,他のレベルに比べ広がっているが,これは,測定精度の低さも影響していると考えられる。また,補足として学期毎に各レベルの受験者母数の分布を確認したところ,若干ではあるが春学期よりも秋学期の方が,全体的に値が高い傾向が見られた。8-1.項目プールの作成テストフォーム作成に向け,項目プールの作成を行った。項目プールに含める項目の選定に際しては,識別力と困難度の 2 点から選別を行った。本テストでは,事前に項目レベルを設定し,得点区分を作成する際にも,各レベル相当の受験者において正答が期待できる項目数を項目レベル別に算出している。つまり,項目レベル内で一定の困難度のまとまりがあることを仮定しているため,同一の項目レベルの項目内に極端な困難度の差があることは好ましくない。そこで,項目レベル別に困難度が極端に高いあるいは低い項目を削除した。具体的には,識別力は 0.4 以下,困難度は各項目レベル別に分布をみたときに外れ値に相当する項目 5),7)を削除した。その結果,全 164 項目から 15 項目が取り除かれた。項目プールには,調査時に使用した出題領域ラベル(語彙または文法)と項目レベル,更に難易度のラベルを作成し,この 3 つのラベルを統合した項目ラベルによって項目を管理した。難易度のラベルは,項目レベル別に難易度順にソートし,難易度の高低で 2 分割したラベルで,E(Easy)または D(Difficult)のラベルが付与された。最終的に統合された項目ラベルは,「1 文法 E」といった形で,項目レベル 1,文法,E(Easy)の項目であ8.項目プールとテストの編集34早稲田日本語教育実践研究 第11号/2023/23―38
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