当該レベル未満 90% の正答率とした正答数142740.55467.581拠テストとしての解釈基準を設定した。受験者は,各項目レベル別の正答数を見ることで,各レベルの学習内容がどの程度理解できているか確認できた。一方,20 年度以降は,熟達度テストとしても運用できるよう集団基準準拠テストとしての解釈基準として,後述の方法により作成したレベル別得点区分を公開した。これにより本テストの総得点から適当なレベルを判断できるようにするとともに,従来の項目レベル別の得点表示も継続し,より多様な観点からレベル判断ができる環境整備を目指した。得点区分の設定は,テスト中心に検討するアンゴフ法(Angoff 1971)と学習者中心に検討するグループ対照法(Zieky & Livingston 1977)の 2 つの手法を組み合わせて設定し,常勤教員全員の合意を得て決定した。得点区分と設定時に考慮した指標を表 5 に示す。まず,テスト中心の検討としてアンゴフ法を援用し,各レベル相当と認められる学習者の正答率を 90% と定め,これを仮の得点区分の下限値とした。次に,受験者中心の検討としてグループ対照法を援用し,各レベルの受験者の得点分布を確認した上で,その結果と仮の得点区分を比較した。続いて,得点区分と分布の間のずれが大きいレベルの得点区分を修正した。その際には,初級(1,2 レベル)とそれ以上のレベルで求める正答率を補正し,3 レベル以上には初級相当の項目で 100% の正答を求める基準とした。本得点区分の妥当性については,20 年度の運用前に本テストの得点が履修レベルを予測できるか回帰分析による検証を行い,確認した。加えて,後述の等化分析の中で,テスト特性関数における得点区分と受験者特性値の対応関係も確認した。表 5 「CJL レベルチェックテスト」判定規準の設定時に考慮した指標科目レベル 得点区分総合 10 〜 13総合 214 〜 27総合 328 〜 43総合 444 〜 57総合 558 〜 71総合 672 〜 857 〜86 〜 907-1.等化分析の概要本テスト開発では,難易度の等質な複数のフォーム作成が求められた。そこで,4 回の試行調査の分析結果を統合し,項目の難易度や受験者の得点分布の確認,得点区分の妥当性の検証を行う必要があった。しかし,試行調査の分析結果は,古典的テスト理論に基づいており,各学期の分析結果を相互に比較することはできない(野口・大隅 2014)。そ14 × 2 = 28初級:100% → 30 点3 レベル:90% → 14 点初級:100% → 30 点3・4 レベル:90% → 28 点初級:100% → 30 点3 〜 5 レベル: 90% → 42 点初級:100% → 30 点3 〜 6 レベル:90% → 56 点7.等化分析の概要と分析結果31論文岩下智彦・寅丸真澄・伊藤奈津美・沖本与子・井下田貴子・三谷彩華/CJLで学ぶ日本語学習者を対象としたComputer Based Test開発想定する得点の内訳
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