作業内容学習目標作業工程テ ス ト の 設 計 18 秋学期項 目 作 成予 備 テ ス ト 18 秋学期 試行テストの手順の確認,項目分析試 行 テ ス ト項 目 分 析解釈基準の作成 19 秋学期 19 年度の試行テストの結果に基づき,解釈基準の設定テスト開発においては,そのテストが測定する能力を規定し,構成概念として設定する必要があるが,到達度テストとしての構成概念は,シラバスや教科書の内容によって定義される(野口・大隅 2014)。そのため,本テストにおける到達度テストとしての構成概念は,CJL「総合日本語」科目の各レベルのシラバスに即したものとした。表 2 は,開発当時(19 〜 20 年度)のシラバスより抜粋した「CJL 総合日本語各レベルの学習目標」および使用教科書で,全て CJL のウェブサイトに公開されているものである。各レベルの学習目標をテスト項目に反映するための具体的な出題領域は,言語知識としての語彙と文法を設定した。理由は,言語知識が会話や作文など CJL における多様な科目を受講するにあたっての基礎知識と考えられること,後述のテストシステムの仕様による制約から,最も優先されるべき出題領域であると判断したためである。一方,熟達度テストとしての構成概念は,日本語能力試験における文法・語彙領域の構成概念(大隅他 2009)を参考に,「言語知識」の領域から日本語の構造的知識における「文法的知識(語彙の知識,統語の知識)」および「テキストについての知識(結束性の知識)」(Bachman & Palmer 1996)と設定した。表 2 「CJL 総合日本語各レベルの学習目標」(2019 ~ 2020 年度)レベル初級前半の文型,語彙,文字(ひらがな・カタカナ)を学習し,日常的な場面で,場面に応じた適切なコミュニケーションができるようになる。教科書:『みんなの日本語初級Ⅰ 第 2 版』(スリーエーネットワーク)総合日本語 1初級後半の文型,語彙,文字(ひらがな・カタカナ)を学習し,日常的な場面で,場面に応じた適切なコミュニケーションができるようになる。教科書:『みんなの日本語初級Ⅱ 第 2 版』(スリーエーネットワーク)総合日本語 2初級の学習事項を定着・拡充させながら,中級の文型,語彙を学習する。そして,社会の身近なテーマについて他者の考えを知り,自らの考えを発信できるようになる。教科書:『中級を学ぼう日本語の文型と表現 56 中級前期』(スリーエーネットワーク)『文法が弱いあなたへ(初級から中級への橋渡しシリーズ 2)』(凡人社)総合日本語 3中級の語彙や表現を増やしながら,社会の身近なテーマについて,論理的かつ客観的に表現できる。教科書:『中級を学ぼう日本語の文型と表現 82 中級中期』(スリーエーネットワーク)総合日本語 426早稲田日本語教育実践研究 第11号/2023/23―38表 1 テスト開発の手順時期(年度)構成概念の検討,対象レベルの検討,冊子数の検討,項目数の検討,テストシステムの選定,受験時間の設定,解答方法の検討18 秋〜 19 秋学期項目作成,出題領域の検討19 春〜 20 秋学期19 春〜 20 秋学期テストシステムの試行,学期別に異なるテストフォームを作成し,開講時期に実施学期ごとに当該学期の試行テストの結果を分析全項目の正答率および点双列相関に基づく項目特性値の検証
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