早稲田日本語教育実践研究 第11号
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日)を提供した。同センターが就業先やプログラムをアレンジし,キャリアセンターで募集および学内選考等を行っている。3-6-2.オンラインコミュニティの形成コロナ禍によりオンライン就職活動が定着したことに伴い,留学生に限らず,学生が安心して情報交換する機会が喪失してしまった。これを踏まえ,キャリアセンターの管理運営による LINE オープンチャットを開設し,学生にとって新しい情報交換プラットフォームとなっている。現在は学年別での運営だが,今後は属性やトピックにあわせたチャットルームの体系化を検討中である。3-6-3.「特定活動」ビザへ切り替える際の推薦状発行卒業前から就職活動をスタートして内定を取得した学生や卒業までに内定を取得することができず,卒業後にも就職活動を継続する学生,若しくは入社までの待機期間を必要とする学生は,日本に在留するために「留学」ビザから「特定活動」ビザへ切り替える必要がある。キャリアセンターでは,条件を満たした場合に,入国管理局から求められる大学からの推薦状を発行している。推薦状の発行条件は次のとおりである。(ア)直近 3 か月以内において,3 社以上に就職活動をしていることがわかるエビデンス(イ)採用選考にエントリーしていることがわかるエビデンス(説明会は対象外)(ウ)最低 1 社は在学中のうちから就職活動を行っている実績があることなお,推薦状の発行対象は正規生のみであり,科目等履修生,短期交流生等は対象外となっており,推薦状は年間約 150 通発行している。4-1.総論日本での就職を希望する場合,日本語の学習・日本語力の向上に努めることは誰もが意識することではあるが,最も重要なことは,リスニング,スピーキング,リーディング,ライティングのすべてにおいて常に日頃から「継続的に学び続ける姿勢」を身に付けることである。日本語という言語は,少しの違いで意味や印象が大きく変化する性質を持っている。同じ表現でも使う場面で意味が違う場合もあり,日本人においても正確に使いこなすことは難しく,日本語によるコミュニケーションの難しさは日本人の誰もが理解するところである。そのため,身振り手振りや表情なども含め,様々な方法で気持ちを伝える技術を磨いてほしい。外資系企業やグローバル日本企業に就職した場合,英語や多言語を応用できる可能性はあるが,日本を土台に活躍する為には日本語だけではなく,様々な意思疎通の技術を駆使しなければ,上司や同僚は勿論,関係者や顧客といった多くのステークホルダーと上手くコミュニケーションすることは難しい。従って,学生生活の中で,専門知識の学習や日本語の勉学は勿論であるが,例えば,4.キャリア形成のための提言19寄稿論文塩月恭・沈向琮/留学生の就職活動について

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