とされている。そのため,日本で就職活動をする場合は,入社後にも学び,成長する人材であることを伝えることが重要であり,過去の経験から,どのような場面で何を学び成長したのかを言語化する「自己分析」が活動の基盤となる。そのうえで,興味関心と社会での仕事を結びつける「業界・企業研究」が続くため,自己分析の準備が充分でない場合には,たとえ関心とやる気があったとしても選考を通過することは難しい。また,本選考のタイミングにおいては,多くの情報を文字で伝える ES の記入や,基礎的な能力や時事問題を問うような採用テスト,さらには議論における各要素のパフォーマンスを図るグループディスカッションや複数回の面接(個人面接,集団面接)を乗り越えた先にようやく内定となるため,日本人学生以上に事前準備や訓練が必要になる。そのため,母国と日本の就職活動文化に慣れる前に採用期間が終了してしまうなど,戸惑う留学生が後を絶たない状況ができてしまっている。上記背景を踏まえ,キャリアセンターでは以下方針のもと,留学生向けの支援を展開している。ここでは,支援方針に基づき企画実施している各種支援策を,直近の実績と共に紹介したい。<支援方針>(ア)イベント広報の対象者は非正規生も含む留学生全員(全学年,全学部・研究科)(イ)日本人学生にとって「当たり前」のことも敢えて留学生達に伝える(ウ)英語話者の学生も考慮し,講義内容を可能な限り日英で開催する(エ)実施したコンテンツはアーカイブ化し,いつでも視聴可能にする3-1.講座・ガイダンスの実施3-1-1.就職活動ガイダンス海外と異なる日本独自の採用スケジュールや採用プロセスのため,日本で就職したくても,どこから・どのように就職活動を進めれば良いか,また,ES,採用テスト,面接をどのように準備すれば良いかわからない,と戸惑う留学生が少なくない。そのため,年 2回(春学期,秋学期),日英両言語で留学生向け就職活動ガイダンス(表 3)を開催している。本ガイダンスでは,全体の就職活動スケジュールや自己分析,業界・企業研究の進め方,ES の書き方,インターンシップ,ビジネスマナーをはじめとした採用選考の対処方法,本学留学生の進路データ,キャリアセンターの提供サービス等,就職活動に関する基礎知識を幅広く説明している。2021 年度まではキャリアセンター職員が講師を務めていたが,最新の就職活動の潮流や企業が学生に求める資質等をより正確かつタイムリーに学生に伝えるため,2022 年度からは専門的な知見を持つ外部講師を招くこととした。在留資格の講義についても,在留3.キャリアセンターの支援12早稲田日本語教育実践研究 第11号/2023/9―21
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