早稲田日本語教育実践研究 第10号
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1.2021 年度 総括寅丸 真澄・吉田 好美早稲田日本語教育実践研究 第 10 号 2021 年度は,2020 年度より本格化した COVID-19 拡大の影響により,CJL の日本語科目のほとんどがオンラインで行われるなか,「わせだ日本語サポート」の学習アドバイジング・セッションも,春学期・秋学期ともに Zoom で行うこととなった。実施形態,開室時間,支援内容等ともに,2020 年度と同様であったが,学習アドバイジングの来訪者は,年度計で 286 名となり,2020 年度比で 160.7% となった。留学生の減少や学内活動すべてがオンライン化されたことによる「わせだ日本語サポート」に関する情報不足,さらに,Zoom によるオンライン・セッションへの抵抗感は続いているものの,学習者がオンライン環境に次第に慣れてきた様子がうかがえる。また,オンライン・セッションは顔を見せずに話せるため,学習者によっては,緊張感なく利用できるといったメリットもあったようである。しかし,依然として周知が困難であったため,前年度同様,新入生向け機関紹介動画(新版)の作成と日本語教育研究センター HP への掲載,My Waseda による広報,授業で使用している LMS(Moodle)での周知を行った。また,授業外の日本語使用を増やす目的で,スタッフが身近なトピックを提供し,それについて参加者が話し合う「ランチタイム・セッション」を昼休みに実施した。さらに,自国で授業を受けたり,国内にいても自由に外出したりできない学習者のために,セミナーやイベントを充実させ,日本語学習のみならず,文化や生活に関わる多彩な話題と経験の場を提供した。その結果,セミナーやイベントの参加者は,春学期 133 名(全 16 回),秋学期 110 名(全15 回)となり,年度計では 31 回 243 名の学生を迎えることとなった。これらの参加者の中には,セミナーやイベントを開催するたびに訪れる学習者もおり,学習アドバイジングのみならず,幅広い観点から学習者の日本語学習のモチベーションを維持,向上させ,興味に合った日本語学習リソースと学習支援を提供できたと考える。2021 年度は,前年度に続く日本語自律学習支援を行うことになったが,不自由な環境の中でも「わせだ日本語サポート」の可能性を継続的に検討できたことは,今後の活動の幅を広げる上で役立ったと考えられる。特に,オンライン・セッションの物理的・時間的柔軟性や学習者によっては心理的負担感が少ない点,また,気軽にイベントが開催できる利便性は魅力的である。2022 年度は,このような魅力を最大限に生かして多様な観点から学習者の学びを捉え,より多くの学習者により開かれた日本語自律学習支援を提供していきたいと考える。91年度報告「わせだ日本語サポート」活動報告

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