総合科目群全体の運営関連業務に関わる総合科目ワーキング・グループの先導のもとに,レベルコーディネーターが各レベルの業務を管理,統括するという体制で実施することとなった。プロジェクトの作業体制は,第 1 グループ(総合 1□4)と第 2 グループ(総合 5・総合6・入門・会話 1・会話 2),第 3 グループ(漢字科目(漢字 1□5))の 3 グループに区分される。スケジュールとしては,まず,5 単位科目である第 1 グループが 2021 年度秋学期より作業を開始し,2022 年度秋学期に作業を完了する。次に,1□3 単位科目である第 2 グループは,2022 年度春学期に作業を開始し,2022 年度秋学期に作業を完了する。これら第 1・第 2 グループは,2023 年度春学期より導入される 100 分授業の実施に合わせて運用を開始する。一方,漢字科目は,すでに運用している漢字 1□2,および 2022 年度より運用予定の漢字 3 の修正を行いつつ,漢字 4 は 2022 年度春学期に作業を開始し 2023 年度春学期より,漢字 5 は 2023 年度春学期に作業を開始し 2024 年度春学期より運用する計画である。授業のオンライン化のための具体的作業としては,CJL 独自の日本語レベルの目安となる CJL スタンダーズに合わせた学習項目の整理や学習内容・活動の選定,コースデザインに関わるシラバスやスケジュールの作成作業と,文型導入用動画,読解教材,レポート作成教材,ワークシート,課題,オンラインクイズ・テスト等の作成が挙げられる。これら一連の作業については,まず,レベルコーディネーターがレベル間の連携を図りつつ基本計画を策定する。次に,その計画に沿って学内外の専門家に教材作成のための基礎資料の作成を依頼し,それらをもとに担当教員が教材を完成させるという方法を取っている。なお,本プロジェクトで作成する文型導入用動画教材や読解教材等の特色として,学習者が時間や場所を問わず視聴できる利便性,およびプログラムや教科書に関わらず使用できる柔軟性と汎用性が挙げられる。これまでの教材は,対面授業を前提に作成されており,使用環境が限定されていた。また,プログラムや教科書との関連性が強いため,教科書の改訂や変更により教材を作成し直すという作業が繰り返されていた。しかし,今回のオンライン化においては,教材の使用環境が拡張され,学習者および教員の双方にとって持続可能で利便性の高い教材が目指されていると言える。2021 年度の具体的な活動としては,(1)上記計画内容・スケジュール・予算案の作成,(2)各レベルのコースデザインの立案,(3)教材作成,(4)教科書の選定と著作権の使用許諾交渉,(5)学内関係箇所との連携という 5 点を行った。教科書は,入門と総合 1□5 では CJL スタンダーズの学習目的とレベル設定にふさわしい市販教材を採用し,総合 6および会話 1・2 ではオリジナル教材を作成することとした。そして,研究プロジェクトとして承認,配分された経費をもとに,主に総合 1□4 における文型導入用動画(総合 1・2 は英語翻訳付き),読解教材,オンラインクイズ・テストの作成を開始した。なお,オンライン授業の実施形態,およびオンライン教材の作成に際しての留意点,著作権の扱い等については,学内関係箇所が配信,提供している資料を参照したことに加え,必要に応じて学内関係箇所と連携しつつ本プロジェクトを進めた。具体例としては,各レベルコーディネーターが立案し,全体で議論,共有したレベル別コースデザインの内容を大学総合研究センターの教員とともに検討したワークショップがある。大学総合研究センターに84早稲田日本語教育実践研究 第10号/2022/83―85
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