4.日本語教育研究センター事業との関連性と研究成果の還元方法課題は停止することとなった。2 点目は,「文法・語彙」の等化作業を行ったことである。すでに選定された問題を対象とした「文法・語彙」の等化作業を春学期に行い,目標であった 3 セットを作成することができた。3 点目は,「聴解・読解」問題セット(2 冊)を作成したことである。「聴解・読解」の問題セットを作成するため,春学期に受験者を募り,調査受験を実施したが,十分なサンプルが得られず,秋学期も継続して調査を実施した。調査協力謝金の支払条件の都合で海外からの受験が困難だったため,年間を通してサンプル数の確保に苦労したが,年度内に完了予定である。以上,これら 3 点の達成をもって,2019 年度より開始した本プロジェクトはすべて完了したと言える。本プロジェクトの成果は,先述したように,学習者,日本語教員,CJL,他学部・他箇所に対し,次の点において還元しうると考えられる。(1)学習者が多種多様な日本語科目を自律的に容易に選択できるようになる。(2)履修者の日本語レベルが明らかになるため,教師の授業運営が円滑になる。(3) 調査結果は,現在のコース履修者の学習成果を反映しているため,今後のコース開発に役立てることができる。(4)他学部・他箇所において,日本語科目の履修科目の指導が実施しやすくなる。これらは CJL の課題,すなわち学習者の自律性の尊重と自律学習の促進,クラス内のレベル差への対応が深刻な課題となっている授業運営の負担軽減,今後のコース開発,全学の日本語教育に関わる他学部・他箇所との連携という 4 つの課題に対応している。本プロジェクトは,テスト開発という観点において CJL の課題解決の一助になりうることから,CJL 事業に深く関連するとともに,その研究成果を十分に現場に還元しうると考える。(とらまる ますみ,早稲田大学日本語教育研究センター)(いげた たかこ,早稲田大学日本語教育研究センター)(いとう なつみ,早稲田大学日本語教育研究センター)(おきもと ともこ,早稲田大学日本語教育研究センター)(くぼ けい,早稲田大学日本語教育研究センター)(せりかわ よしこ,早稲田大学日本語教育研究センター)81研究プロジェクト報告寅丸真澄・井下田貴子・伊藤奈津美・沖本与子・久保圭・芹川佳子/CJLで学ぶ学習者のためのレベル判定テスト開発
元のページ ../index.html#85