2.2019 年度から 2020 年度までの活動実績3.2021 年度の活動実績2019 年度は,総合日本語科目 1 〜 6 レベルの履修者を対象に春学期に「文法・語彙」(総合日本語 1□2・集中日本語 1□2:60 問セット,総合日本語 3□6:90 問セット),秋学期に「文法・語彙」(総合日本語 1□2・集中日本語 1□2:45 問セット,総合日本語 3□6:90問セット)と,漢字 2 〜 5 レベルの履修者を対象とした「漢字」(漢字 1□5:90 問セット)の試用を行い,解答の分析とテスト問題,形式の改善を進めた。「文法・語彙」と「漢字」におけるレベル別の平均正答率,および標準偏差の分析結果から,学習者のレベル判定指標としての有効性が証明された。また,テスト開発の過程で,他学部内における履修科目指導の基準となる上級者向けテストの要請があり,「文法・語彙」「漢字」に加え,「聴解・読解」の作成に着手した。2020 年度は,(1)受験者能力の弁別に寄与していない項目や想定した正答率と異なる難易度の項目を入れ替える,(2)前年度同様「文法・語彙」「漢字」の試用調査を行い,分析および問題セットの精度を高める,(3)「聴解・読解」問題作成後,試用調査と分析を行う,という 3 つの活動を行った。まず,春学期は,「文法・語彙」(総合日本語 1□6:90 問セット)において,新入生を対象として学期開始前に事前受験を実施した。また,総合日本語 2 〜 6 レベルの新入生・在校生を対象として授業期間中に授業内受験を実施した。一方,「漢字」では,新入生・在校生を対象とした事前受験と学期末の授業内受験を実施した。COVID-19 拡大の影響により春学期の授業開始が 1 か月以上遅れたため,テストの実施も混乱を極めたが,「文法・語彙」「漢字」ともに授業内受験を行うことによって調査協力者数を確保し,調査分析を進めた。そして,これらの収集データの分析の結果,「文法・語彙」「漢字」ともに一定の妥当性と信頼性を確認した。さらに,2020 年度秋学期は,新入生を対象とした事前受験とともに,新入生・在校生を対象とした学期開始時の授業内受験を実施した。2021 年度は,2020 年度の実績を踏まえ,(1)「文法・語彙」「漢字」「聴解・読解」全テストにおける本運用の開始,(2)「文法・語彙」問題の等化作業とテストセットの作成,(3)「聴解・読解」問題セット(2 冊)という 3 点を計画し,実施した。まず,1 点目は,「文法・語彙」「漢字」「聴解・読解」全テストにおいて,事前受験のみの本運用を開始したことである。2021 年度春学期は,1 次登録開始の 3 月末から 3 次登録終了の 4 月初旬まで,「文法・語彙」(総合日本語 1□6:90 問セット)は新入生が必須で在校生が任意,「漢字」は新入生・在学生ともに任意で受験できるようにした。また,「聴解・読解」は新入生・在校生の日本語科目履修免除希望者に対して実施した。これにより,新入生・在学生全員が科目登録に必要なレベル判定を自身で行えるようになったと言える。なお,「聴解・読解」については,本テスト完成までの経過措置として,総合日本語 6 レベル修了相当の質と分量を想定したアカデミック・レポートの作成課題を課し,学習者の日本語能力の測定に一定の成果を上げていたが,「聴解・読解」の完成に伴い,本80早稲田日本語教育実践研究 第10号/2022/79―81
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