早稲田日本語教育実践研究 第10号
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設置主旨1.プロジェクトの目的と経緯CJL では,学習者の自律性を尊重するため,学習者自身が日本語学習の目的とレベルに寅丸 真澄・井下田 貴子・伊藤 奈津美・沖本 与子・久保 圭・芹川 佳子研究プロジェクト報告早稲田日本語教育実践研究 第 10 号  本プロジェクトの目的は,日本語学習者が早稲田大学日本語教育研究センターにおける日本語レベルを自身で把握するためのテストを開発することである。本テストの開発,実施により,学習者が自ら日本語レベルを適切に把握できるようになれば,CJL において展開されている多様な日本語科目を選択することが容易になり,教師の授業運営も円滑になる。また,他学部において行われている留学生に対する日本語科目の履修科目指導にも寄与しうると考える。本プロジェクトの目的は,日本語学習者(以下,学習者)が早稲田大学日本語教育研究センター(以下,CJL)における日本語レベルを自身で把握するためのテストを開発することである。合わせて科目選択を行うことが推奨されている。そのため,2019 年度まで,学習者が科目登録前に J-CAT を受験してそのスコアをもとに自身のレベルを特定し,履修科目を選択していた。しかし,その後,学習者数の増加に伴い,学習者が自身の履修レベルをより適切に判断できるようなテストの需要が高まってきた。そこで,2019 年より,J-CAT より詳しくレベルが判定でき,かつ CJL が提供する学習内容に準拠した独自テストの開発を開始した。本プロジェクトで開発するテストは,「CJL レベルチェックテスト(文法・語彙)」「CJLレベルチェックテスト(漢字)」「CJL レベルチェックテスト(聴解・読解)」の 3 種である。本報告では,それぞれ「文法・語彙」「漢字」「聴解・読解」と記述する。これらのテストの開発,実施により期待されることとしては,次の 4 点が挙げられる。(1)学習者が自身の日本語レベルを適切に把握できるようになれば,CJL において展開されている多様な日本語科目を自律的に容易に選択できるようになる。(2)教員が学習者の日本語能力を把握しやすくなり,授業運営が円滑になる。(3)現在のコース内容に即した学習者の習熟度の把握が可能となり,今後のコース開発のための検証に役立つ。(4)学習者の日本語レベルが数値的に可視化できれば,他学部において行われている留学生を対象とした日本語科目の履修科目指導にも寄与しうる。79CJL で学ぶ学習者のためのレベル判定テスト開発

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