1.授業の目的2.授業の概要福島 恵美子実践紹介早稲田日本語教育実践研究 第 10 号 科目名:ビジネスコミュニケーション 7-8 レベル:初級 1・2 /中級 3・4・5 /上級 6・ 7 ・ 8 履修者数:30 名 本科目は,将来日本語を使って仕事をしたいと考えている日本語上級レベルの学生を対象としている。 授業の目的は,ビジネス場面のルールやマナーを理解すること,電話応対やクレーム処理などのビジネスコミュニケーションのスキルを養うことの 2 つである。教員が研究活動として日本人ビジネスパーソン数人にインタビュー調査を実施し,新入社員に期待していることを尋ねた結果,「ビジネス場面のルールやマナーを理解していて,ある程度のコミュニケーションスキルを身につけていること」という回答を得た。そのため,上述したことを目的として進めている。 15 回の授業のうち 13 回目までは電話応対,アポイント,クレーム処理,交渉,商品説明,説得,企画などのビジネス場面を取り上げ,14 回目,15 回目は関心がある企業についてのプレゼンテーションを行っている。電話応対,アポイントなどは,上級レベルであるため,少し複雑な場面を設定している。2-1.ビジネスコミュニケーションの場面 13 回目までに取り上げるビジネス場面も,上述したように教員が日本人ビジネスパーソン数人にインタビュー調査を実施して,多く見られるコミュニケーション場面を確認し,決定している。電話応対を取り上げるのも「メールでの連絡が増えているが,電話応対は新入社員の担当になる」という回答が多かったからである。 電話応対,クレーム処理,交渉などは,ウチ・ソトなどの人間関係や場に配慮したマナーを理解し,適切な対応ができることに焦点を絞った活動を行い,商品説明や企画などは,企業で実施される 1 つのプロジェクトと捉え,グループで協力して課題を達成することに焦点を絞った活動を行っている。 適切な対応に焦点を絞った活動は,①課題を与え,各自考える。②その後,ペアやグループで意見を交換し,考えをまとめる。③代表者がクラス全員に向けて発表をする。④質疑応答を踏まえて,問題点を整理し,解決策を考えるという流れで行っている。内容により例を示すこともあるが,学生が主体的に考え,ペア,グループ,クラス全体での活動63ビジネス場面のコミュニケーションスキルを養う
元のページ ../index.html#67