4.講座後アンケート調査と考察「量り売り」の取り組みついて,ユンさんは次のように引用している。 記事は,無印良品は「量り売り」を始めたという。食品をグラスケースに入れて並列し,消費者がお持ち帰りするとき,紙袋に必要な量だけを購入してもらうことで,無駄な買い物,不必要なゴミを減らそうと述べている。インタビューでは,「企業としてプラゴミの削減に取り組むことはもちろん『小売り』という業態としては,お客様にプラゴミ削減の場を提供し,買い物を通して環境への意識高めてもらう機会を提供することが大事なんです」と主張している。 まず,良品計画の「計り売り」の取り組みについての説明部分であるが,「述べている」と書くことによって記者自身の主張のように読めてしまう。また,突然「インタビューでは」から始まり「と主張している」と記述されている。誰に対するインタビューで,誰が主張したのかが不明である。この点について,クラス内で元の記事を確認したところ,記事では「無印良品」の計り売りの取り組みについて,良品計画の社員であり商品開発担当者榊かおる氏にインタビューを行っていることがわかった。これらを踏まえ,ユンさんは次のように修正した。 記事は,無印良品は「量り売り」を始めたという。食品をグラスケースに入れて並列し,(中略)不必要なゴミを減らそうということである。良品計画の商品開発担当者の榊かおるさんは,(中略)と主張している。 主張と誤解されるような「述べている」から,記者が調べたことを引用する表現の「ということである」に変わった。さらに,インタビュー部分は「良品計画の商品開発担当者の榊かおるさんは」と主語が追加された。以上のように,第 3 週では,ユンさんのレポートをめぐり,レポート評価表の【内容構成】【言語表現】の観点から検討し修正していった。検討の過程において,ユンさん自身の問題意識と主張が明確になっていく過程がみられた。これは,テキストの特徴である「論理を組み立てる力をつける」(伊集院・髙野 2020)ことにつながったといえよう。本講座最終日に,本講座の目的を改めて説明した上で,1.できるようになったこと,2.難しかったところ,課題(もっと勉強したいところ),3.その他,日本語集中講座の感想について自由記述形式でアンケートを実施した。以下に結果をまとめる。1.「できるようになったこと」として,引用表現,接続表現等がアカデミック・スタイルで文章が書けるようになったこと,課題を行いながらアカデミックな表現として漢字語を活用できるようになったこと,「はじめ・なか・おわり」の 3 つを学び,文の構成が上手になったことが挙げられた。これはテキストの特徴①「『アカデミック・スタイル』『言語表現』『内容・構成』の 3 つの観点から学ぶ」の効果だといえよう。また,「課題を遂行 (第 7 回目提出レポート) (第 8 回目提出レポート)43ショート・ノート小畑美奈恵・三谷彩華・陳曦/大学入学前教育としてのレポート作成授業の可能性
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