―留学生対象の日本語集中講座の実施報告から―1.講座実施の背景と本稿の目的2.講座実施までの経緯と授業概要小畑 美奈恵・三谷 彩華・陳 曦ミック・スキル,課題遂行,レポート評価ショート・ノート早稲田日本語教育実践研究 第 10 号 キーワード: アカデミック・ジャパニーズ,アカデミック・ライティング,アカデ早稲田大学では,韓国指定校推薦入試制度に基づき,韓国有力外国学校である指定校13 校から,政治経済学部,文化構想学部をはじめ,7 学部で韓国からの留学生(最大 91名)を受け入れている。受け入れた学生のうち,日本語能力試験 N1 に合格していない学生,CJL レベルチェックテストでレベル 7 の点数(86 点以上),日本留学試験「日本語」(記述を含まず)において 260 点以上を取得できていない学生は,学部入学前の春休み期間中に早稲田大学日本語教育研究センター(以下,CJL)が開講する日本語集中講座の受講が義務付けられている。本講座を受講することにより,学部の授業を問題なく受講できる日本語力に達したとみなす。本講座の講師は CJL の助手・助教が担当することになっている。なお,2020 年度は,新型コロナウイルス感染症の影響で,韓国での各試験の実施が中止となったこともあり,日本語能力についての証明ができないという背景にあった。また,同入試制度は 2021 年 4 月入学を最終実施年度とし,2022 年以降は募集を停止していることが決定しているため,本実施報告も最終年度の報告となる。本稿では,上記背景により実施した日本語集中講座について,授業設計から授業評価アンケートまでの経緯と成果,課題を大学入学前の日本語教育実践として報告する。2-1.講座実施までの経緯講座実施までの流れは,(1)センター所長,事務長と助手・助教で講座の方針や実施方法の検討,(2)開始日程や実施形態などの確認と希望する講座内容の聞き取り,(3)受講学生(以下,学生)の要望をもとに,助手・助教間で授業内容の協議,の順で行った。(1)では,学部への入学前教育として,学部の授業に耐えうる日本語力を身につけることが目的とされた。また,新型コロナウイルス感染症の影響により,留学生は日本に入国できず韓国から授業を受けるため,講座実施方法は,Web 会議システム Zoom で行うこととした。(2)では,受講予定者にメールで希望する講座内容についてヒアリングした。学生からの要望として,①文章の作成能力と表現力などを高めたい,②漢字の学習方法を知り,漢字能力を高めたいという 2 点が挙がった。(2)のヒアリングから講座内容を(3)37大学入学前教育としてのレポート作成授業の可能性
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