注早稲田日本語教育実践研究 第10号/2022/5―176.CJL スタンダーズ開発の意義と今後の課題の導入は,授業形態の広がりをもたらした。そうした授業形態の選択も,大きな枠組みの中で検証されていくべきものであると考えている。以上,CJL スタンダーズの開発について,目標記述の試み,および開発の過程で同時に進められた CJL ポリシーの詳述,カリキュラム設計と評価の枠組みの検討について述べた。本稿では,特に目標記述および CJL ポリシーの詳述に焦点を当てて述べてきたが,それぞれの成果物は未だ発展途上である。今後も様々な「接続」を可能にし,「ことばの学びの中継点」としての役割を果たすべく,CJL スタンダーズの開発,ひいてはプログラム全体の向上に努めていきたい。今後の直近の課題として,まずは総合科目群を中心に目標記述を完成させていく。その際,アカデミック・ジャパニーズをどのように位置づけるのか検討する必要があろう。さらに,テーマ科目など,他の CJL 科目との関係性についても検討する必要がある。また,ウェブ上での公開を行い,早稲田大学内の他の部署にとどまらず,協定校など大学外の関係者との共有をめざすべく,環境を整えていく必要がある。中期的な目標としては,5 章で述べた通り,目標記述を,CJL ポリシーやそれを含む大きな枠組みの中で捉え,その関係性を可視化し,レベルチェックテストや内部・外部評価との関係性についても検討していく予定である。このスタンダーズ開発のプロセスは,常勤教員全員にとっても,自らの言語観を内省し,より広い視野で早稲田大学 CJL について語り合う好機となっている。CJL スタンダーズの開発は,前述の通り未だ道半ばであり,課題は山積している。しかし,この道を切り開いてきた諸先輩方の努力に報いるためにも,地道に開発を進めていきたいと考えている。1) 科目内容については,CJL ホームページ<https://www.waseda.jp/inst/cjl/about/>(2022 年 1月 24 日アクセス)参照。2) CJL 日本語教育プログラムのポリシーについては,CJL ホームページの<https://www.waseda.jp/inst/cjl/applicants/launch/policy/>(2022 年 1 月 24 日アクセス)掲載。3) CJL レベルチェックテスト<https://www.waseda.jp/inst/cjl/students/registration/placementtest/>(2022 年 1 月 24 日アクセス)4) CJL ポリシーの DP 以外のポリシーに関する詳述は以下の通りである。(「日本語教育プログラムポリシー」からの転載部分はイタリック表記)・CP:CJL のカリキュラム・ポリシー(体系的な教育課程) ひとりひとりの学生がそれぞれの生き方の中で日本語を意味づけ,自らに必要な日本語を主体的に学び取ることができる学習機会を提供する。個々の学生の自己実現を可能とするために,学生自身が多種多様な日本語科目と教養科目を組み合わせ,自らの学びをデザインすることのできるカリキュラムを構築する。(1) 【分野・領域】日本語科目(総合科目群,テーマ科目群)を主として提供し,教養科目(全学オープン科目)の受講も可能にする(2)【レベル】入門から超級までの日本語科目を提供する(3) 【授業形態】講義,演習,反転授業,オンデマンド学習など多様な形態の授業を提供10
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