早稲田日本語教育実践研究 第10号
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9センター最前線久保田美子・濱川祐紀代/「CJLスタンダーズ」の開発5.CJL スタンダーズに基づくカリキュラム設計と評価の枠組みAD をもとに受講前の日本語レベルチェックテスト,漢字テストなどが開発されているが,初級前半(レベル 1)初級後半(レベル 2)Beginner(A1 〜 A2.1)Elementary(CEFR A2.1 〜 A2.2)◆かんたんな日常会話をしたり,単純な情報交換をしたりすることができます。◆身近なことについて書かれた短く簡単な文章を読むことができます。◆自分のことを短い文章で書くことができます。◆日常のことについて情報交換ができます。◆自分の希望や気持ちを伝える,お願いする,ことわるなど,基本的なことを日本語で伝えることができます。◆自分の経験について話したり書いたりす る こ と が で き ます。◆身近な話題について書かれた文章を読んで内容を理解することができます。初中級(レベル 3)Pre-Intermediate(A2.2 〜 B1.1)◆身近な話題についての会話や説明を聞いて,要点を理解することができます。◆相手や場面を考えながら,表現を選んで会話をすることができます。◆身近な話題について書かれた文章を読んで,要点を理解することができます。◆出来事や夢,希望などについて,かんたんな文章を書くことができます。中級(レベル 4)Intermediate(B1.1 〜 B1.2)◆ 身 近 な 話 題, 一般的な話題についての会話や説明を聞 い て, 要 点 を 理解することができます。◆意見や計画の理由などを短く述べることができます。◆ 身 近 な 話 題, 一般的な話題について書かれた文章を読 ん で, 要 点 を 理解することができます。◆目的や相手に合わ せ て, ふ さ わ しい文体で文章を書くことができます。表 2  CJL 総合科目群における到達目標記述(レベル 4 まで)(学生向け記述)入門(レベル 0)Introductory/Starter(Pre-A1 〜 A1)◆あいさつをしたり,かんたんな質問にこたえたりすることができます。◆メニューや看板の文字を,絵や写真をみながら読むことができます。◆ひらがなとカタカナで名前や住所など,かんたんな情報を書くことができます。前述の通り,CJL の「日本語教育プログラムのポリシー」を基に,「CJL ポリシー」の詳述を行った。そしてこれらのポリシーと前述の総合科目群(いずれは CJL 全科目)の目標記述がどのような関係にあるのかという問題は,全体のカリキュラム設計と評価の枠組みという,より大きな枠組みの中で検討すべきであると考えている。この課題に関しては,未だ検討の最中ではあるが,大きな枠組みの中で CJL ポリシー,目標記述,そして評価の関係性を図として可視化することを目指している。開発中の目標記述が,カリキュラム設計とどのようなつながりをもつのか,それが CJL ポリシーの DP や CP とどのような関係性をもつのか,また修了試験,定期試験,小テストのような直接的な評価や学習者自身が行う自己チェックシート,振り返りシートなどの評価,外部テストや大学・大学院の入試,入社試験などの学外の評価とどのような関係にあるのか,そのような様々な関係性について整理し可視化したいと考えている。また現在,入学者の受け入れ方針に関わるそれらが目標記述や内部評価,外部評価などとどう関係していくかも検討する必要があろう。大きな枠の中で CJL スタンダーズをとらえ,今後何を開発し,何を相互に検証していくべきなのか検討していくためにも「カリキュラム設計と評価の枠組み」の可視化は重要な課題であると考えている。2020 年度から始まったコロナ禍におけるオンライン授業

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